
「石原さん、うちもDXを進めたいんだけど、何から手をつけていいかサッパリで…」。
これは、私が中小企業の経営者の方々から、本当によくお聞きする言葉です。
最新のITツールやAIの話題が飛び交う中、焦りを感じつつも、どこから踏み出せばいいのか分からない。
その気持ち、痛いほどよく分かります。
そんな時、私は決まってこうお聞きします。
「そもそも、なぜDXが必要だとお感じになったんですか?」と。
少し意地悪な質問に聞こえるかもしれません。
しかし、この「問い」こそが、全てのスタートラインになるのです。
「忙しい」を疑うことから始まる、本当の課題発見
多くの現場で、「人手不足で忙しいから、ITで効率化したい」という声を聞きます。
一見、もっともな理由です。
しかし、そこで思考を止めずに、もう一歩だけ深く問いを立ててみませんか?
「なぜ、そんなに忙しいんだろう?」
私が伴走支援をさせていただいたある製造業の社長は、当初「見積もり作業に時間がかかりすぎている」と感じていました。
そこで一緒に「なぜ時間がかかるのか?」を5回繰り返してみたのです。
- なぜ時間がかかる? → 過去の類似案件を探すのに手間取っている。
- なぜ探すのに手間取る? → データが個人のPCにバラバラに保管されている。
- なぜバラバラに? → 会社としての管理ルールが決まっていない。
- なぜルールがない? → 誰が責任者なのか曖昧になっている。
- なぜ曖昧に? → そもそも、過去のデータを資産として活用する意識がなかった。
ここまで掘り下げて初めて、「単なる見積もりソフト導入」ではなく、「全社的な情報共有の仕組みづくりが本質的な課題だ」ということが見えてきました。
もし最初の「忙しい」だけでツールを導入していたら、根本的な解決には至らなかったでしょう。
思考の壁を壊す「もしも…」の魔法
「なぜ?」を繰り返して現状を深掘りしたら、次は未来に目を向けるための問いを立ててみましょう。
私がよく使うのが、「もしも…」という仮説の問いです。
- 「もし、今の半分の時間で仕事が終わったら、空いた時間で何がしたいですか?」
- 「もし、競合のA社さんが、うちの会社の一番嫌なところを突いてくるとしたら、それは何だと思いますか?」
- 「もし、全くの未経験者でも、明日から即戦力になる仕組みを作るとしたら、何が必要ですか?」
このような「もしも」の問いは、普段の業務の延長線上では出てこないような、新しい視点やアイデアを引き出してくれます。
これは、私がセミナーでワークショップを行う際にも、一番盛り上がる時間です。「先生」として一方的に教えるのではなく、皆さんと一緒に「もしも…」を考える。
その中から、会社の未来を照らすヒントが生まれる瞬間を、私は何度も目撃してきました。
「問い」を立てるのが怖い、あなたへ
ここまで読んで、「理屈は分かるけど、そんなに上手く問いなんて立てられないよ」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。
その気持ちも、よく分かります。答えのない問いと向き合うのは、不安で、怖いものです。
実は、私自身も昔はそうでした。目の前の仕事をこなすのに精一杯で、本質を問うことから逃げていた時期もあります。
しかし、地方で挑戦する多くの中小企業の皆さんと現場で向き合う中で、気づいたのです。
最高の武器は、最新のテクノロジーではなく、それを「何のために使うのか?」という、深く、誠実な「問い」である、と。
私たちは、ツールを売る専門家ではありません。
あなたの会社の未来を一緒に考え、課題の本質を共に見つけ出し、テクノロジーという武器を授ける「伴走者」です。
まとめ
仕事や経営が複雑さを増す現代において、「正解」を追い求めるだけでは、すぐに道に迷ってしまいます。大切なのは、自分たちにとっての「良い問い」を見つける力です。
「何から手をつければいいか分からない…」
もし今、あなたがそう感じているなら、ぜひ一度立ち止まって、自社に、そして自分自身に問いを立ててみてください。
- 私たちは、なぜ、この仕事をしているんだろう?
- そして、本当はどこへ向かいたいんだろう?
その問いへの答えが、必ずあなたが進むべき道を照らしてくれるはずです。
もし一人で考えるのが難しければ、いつでも声をかけてください。
一緒に、あなたの会社の未来を拓く「最高の問い」を見つける旅に出ましょう。


