
最近、セミナーや伴走支援のご相談の中で、Google Workspace の話をよくいただきます。
それも、介護福祉施設からです。
Google Workspace は、Gmail・カレンダー・ドライブ・ドキュメントなどを、法人の独自ドメイン(info@法人名.or.jp のような、法人だけのアドレス)でまとめて使える Google の仕事用サービスです。
何ができるかは、以前「介護福祉施設の生成AI研修が、Google Workspaceの全体講義になった」という記事に書きました。
今回は、その手前の話です。
社会福祉法人であれば、Google Workspace を無料で使える仕組みがあります。
私自身が申請する立場ではありませんし、どこかの法人で運用まで見届けたわけでもありません。
ただ、ご相談が続いているので、要件と申請の流れを調べて整理しました。
これから検討する法人の、最初の地図になればと思います。
Geminiで調べて、公式で確かめました
まず、生成AIの Gemini に「Google Workspace の非営利団体向けプログラムの要件・できること・申請方法」を聞きました。
数十秒で、見出しのついた整った答えが返ってきました。
そのうえで、Google の公式ページと照らし合わせました。
すると、いくつか違うところがありました。たとえばビデオ会議(Google Meet)の参加人数は、Gemini の答えでは100人、公式では150人でした。対象になる法人の数え方も、公式の書き方とずれていました。
Gemini が悪いという話ではありません。下調べとしては十分すぎるほどでした。
ただ、最後の一歩だけは公式で確かめる。研修でいつもお伝えしている「生成AIの答えは、出典を開いて確かめる」を、今回は自分でもやった形です。
以下の数字は、すべて公式ページの記載に合わせています。
介護施設は、Google Workspaceを無料で使えますか
運営している法人が、社会福祉法人やNPO法人などの非営利法人であれば、使える可能性があります。
同じ介護施設でも、株式会社や医療法人が運営している場合は対象外です。
ここがいちばん誤解されやすいところです。決めるのは「介護かどうか」ではなく、法人格です。
Google の公式ページでは、日本で対象になる団体として次の5つが挙げられています。
・公益社団法人
・公益財団法人
・特定非営利活動法人(NPO法人)
・社会福祉法人
・一般社団法人
一方、政府機関、病院や医療団体、学校や大学は対象外とされています。
一般社団法人は、定款などで非営利であることを確かめられることがあるので、事前に確認しておくと安心です。
もう一つ、よく聞く誤解があります。「介護福祉事業者向け」という名前のプランはありません。
探すときは「Google Workspace for Nonprofits(非営利団体向け)」という名前で調べてください。
無料版で、何ができるのか
公式ページに書かれている無料版(Google Workspace for Nonprofits)の主な内容は、次のとおりです。
・ユーザー数:最大2,000人
・メール:法人の独自ドメインのアドレス
・保存容量:100TB を全員で共有
・ビデオ会議:150人まで
・上位プランへの切り替え:Business Standard が75%オフなど、割引価格で使える
現場の言葉に置き換えると、職員一人ひとりに法人のメールアドレスを配れる、ということです。
個人のスマホや個人の Gmail で業務連絡をする状態から抜けられます。
記録やマニュアル、会議の資料も、法人のドライブにまとめて置けます。
非営利向けのプランには、Google の生成AI である Gemini も含まれると案内されています。
ただし、どこまで使えるかはプランによって違い、内容の更新も多い部分です。
申請の前に、公式ページで最新の内容を見てください。
ほかにも、検索広告の無償枠など、非営利団体向けの特典があります。
ただ、今回は Workspace の話に絞ります。
申請は4つの手順です
申請の流れは、大きく4つです。
- Goodstack で、非営利団体としての認定を受ける Goodstack(グッドスタック)は、Google に代わって「非営利団体かどうか」を確認する審査機関です。登記事項証明書や定款などを提出します。
- Google for Nonprofits に法人を登録する 認定が通ったら、Google の非営利団体向けの窓口に法人を登録します。
- 管理画面から Google Workspace を有効にする
- ドメインの所有を証明し、メールの設定をする
審査を挟むので、始めてから使えるようになるまで、数日から2週間ほどは見ておくとよいと思います。
また、審査では法人の Web サイトも見られる、とよく言われます。
法人の目的、事業の内容、所在地や連絡先が載っているかは、申請前に一度見直しておくと安心です。
Google Workspace for Nonprofitsの申請で、いちばんつまずくのはどこですか
書類の審査よりも、最後のドメインの設定です。
ドメインを管理している会社の画面を開き、Google から指定された値(TXTレコード、MXレコードと呼ばれるもの)を書き足す作業があります。
MXレコードは、「この法人あてのメールを、どこに届けるか」をインターネットに知らせる届け出です。
Gemini は「郵便局に、新しい表札とメールの転送届を出しに行く作業」とたとえていました。
うまい言い方だと思います。
この作業で止まりやすいのは、作業の難しさより、その前の段階です。
「法人のドメインを、誰が、どの会社で契約したのか」「ログインの情報がどこにあるのか」。
ホームページを作ったときの業者さんに任せたまま、ここが分からなくなっている。
そういう話は、介護福祉に限らず、中小企業でもよく聞きます。
そして、設定が終わってからが本題です。
無料で2,000人分のアカウントを配れても、使い方が分かる人が中にいなければ、道具は眠ります。
以前「全部使おうとした人が、いちばん使っていない」という記事を書きましたが、最初から全部を使う必要はありません。
はじめは「法人のメールアドレスを全員に配る」だけで十分です。
もう一つ大事なのは、申請や設定を外の人にすべて任せきりにしないことです。
外の人がやってしまうと、次に困ったとき、法人の中で誰も直せません。
一人でいいので、「どこで何を設定したか」が分かっている職員をつくっておく。
無料の道具を長く使い続けられるかどうかは、そこで決まると考えています。
石川の介護福祉の現場で、これから
私はこの2年間で、生成AI・DXの実践型研修を80回以上、800名を超える方と行ってきました。職業訓練の DX 講座も7期目に入りました。その中で、ここ最近は社会福祉法人からのご相談が目に見えて増えています。
ただ、正直に書くと、Google Workspace の非営利向けプログラムを、どこかの法人で一緒に導入から運用まで回した経験は、まだありません。今日書いたのは、最近の傾向と、調べて分かったことまでです。ここから先は、現場で一緒に確かめていくことになります。
費用が理由で Google Workspace の検討が止まっているなら、まず、自分の法人が対象かどうかだけでも確かめてみてください。
今週、確かめておきたい3つ
- 自分の法人の法人格を確かめる 社会福祉法人やNPO法人なら、対象になる可能性があります。
- 法人のドメインを、誰がどこで契約しているか確かめる ログイン情報の在りかまで分かれば、最後の設定で止まりません。
- 法人の Web サイトに、目的・事業内容・所在地が載っているか見る
無料の枠を使えるかどうかは、法人格で決まります。
使いこなせるかどうかは、中の人で決まります。後者のほうは、外から手伝えます。
職員の皆さんが Google Workspace を「自分たちで使える」状態にする研修は、こちらにまとめています。
https://www.solobizjourney.com/dx-kenshu/
参考(2026年10月時点の情報です。内容は変わることがあります)
・Google for Nonprofits「Google Workspace」
https://www.google.com/intl/ja/nonprofits/offerings/workspace/
・Google for Nonprofits ヘルプ「参加要件」
https://support.google.com/nonprofits/answer/3215869?hl=ja

