新規を呼ぶのは常連の5倍大変だった|セミナー集客にランチェスター戦略を使う提案

告知を増やす前に、常連の方の隣の席を一つ空けておく。

新しいお客さまに1人来てもらうのは、いまのお客さまにもう一度来てもらうより、5倍の手間がかかる。 マーケティングの世界では、よくそう言われます。「1:5の法則」と呼ばれる目安です。

セミナーや勉強会でも同じことが起きます。

何度も来てくださる方には、案内を1回出せば申し込みが届きます。
初めての方に来てもらうには、その何倍も手を動かすことになります。

私も石川県で、自分でセミナーを開いています。 告知も、申込の受付も、当日の準備も自分でやっています。 (参加費をいただく形にしている理由は、別の記事に書きました) 

 

5倍という数字がどこまで正確なのかは、私には分かりません。
ただ、新しい方と常連の方で、集めるときの重さがまるで違うことは、体でよく分かっています。

この記事では、その重さをどこに使うかについて、ランチェスター戦略の考え方からひとつ提案します。

先に言っておくと、「新しい方を諦めましょう」という話ではありません。
新しい方を呼ぶための手間を、どこに使うかの話です。

なぜ新規の参加者を呼ぶのは、常連の5倍も大変なのか

常連の方は、講師のことも、会の中身ももう知っています。
案内が届けば、あとは日程が合うかどうかだけです。

初めての方は違います。 申し込むまでに、少なくとも次の4つを越えてもらう必要があります。

  1. その会があることを知る
  2. 自分に関係がありそうだと思う
  3. この講師で大丈夫か、確かめる
  4. 申し込む

このうち、いちばん重いのは3つ目です。

「この人で大丈夫か」は、告知の回数を増やしても越えられません。
むしろ告知が増えるほど、「売り込まれている」と感じる方もいます。

私は以前、富山まで行って、参加者が0人だったことがあります。 

告知はしていました。
会があることは、たぶん知ってもらえていました。
届かなかったのは、3つ目だったのだと思います。

小さな主催者が、大きな主催者と同じ集め方をすると負ける

ここで、ランチェスター戦略の考え方を借ります。

もとは戦いの勝ち負けを数式で表したもので、日本では中小企業の経営の考え方としてよく知られています。

いろいろな整理がありますが、小さな主催者に要るところだけ縮めると、こうなります。

力の小さい側は、戦う場所を狭くして、相手との距離を近くする。

広告を出せる会社や、会員の名簿を持っている団体は、広く告知すれば数の力で人が集まります。
個人や小さな会社が同じことをすると、5倍の手間を薄く広く撒いて終わります。

SNSの投稿を増やす。チラシを増やす。告知先を増やす。 手間は確かに増えています。

それでも、3つ目の「この人で大丈夫か」には、ほとんど届きません。

広く告知すること自体が悪いのではありません。
力の大きさによって、効く集め方が違う、ということです。

提案:常連の方の隣の席を、一つ空けておく

では、小さな主催者は、新しい方を呼ぶ手間をどこに使えばいいのか。 私の提案は一つです。

新しい方を広く探すのではなく、常連の方の隣にいる一人に絞る。

たとえば、こういう形です。

・常連の方の申込フォームに、「職場の方やお知り合いを一人お連れいただけます」という枠を最初から用意しておく
・常連の方の職場に出向いて、その職場の方だけで一回開く

なぜこれが効くのか。

さきほどの3つ目、「この講師で大丈夫か」を、常連の方が代わりに越えてくれるからです。

「あの人が毎回行っている会なら」

初めての方にとっては、それで十分です。

講師が自分で100回説明するより、隣の席の同僚の一言のほうが届きます。

ランチェスター戦略の言葉に戻すと、 戦う場所を狭く(常連の方のまわりだけ)、 相手との距離を近く(知っている人からの紹介)、 ということになります。

正直に書くと、私はまだこの形を試していません。

何度も来てくださる方はいますが、その方の「隣の席」を意識して空けたことは、これまでありませんでした。

それでも、5倍の手間を払う場所をここに移せば、手間の中身が変わるのではないかと考えています。

告知を増やす手間から、常連の方との関係を大事にする手間へ。
後者のほうが、主催者としても続けやすいはずです。

狭めたら、先細りになりませんか?

ここまで読んで、2つの疑問が浮かんだ方もいると思います。

ひとつ目は、「常連の方のまわりだけでは、先細りになるのでは」という疑問です。

常連の方の隣にいる人は、毎回違う人です。

一度来てくれた方が次の会の常連になれば、その方の隣がまた空きます。
輪は、狭いところから外へ広がっていきます。

ふたつ目は、「紹介をお願いするのは気が引ける」という気持ちです。

これはよく分かります。私も、誰かに「連れてきてください」とお願いするのは苦手です。

だから、お願いはしません。 連れてこられる枠を、先に置いておくだけです。

使うかどうかは、常連の方が決めます。

介護施設の家族会や採用説明会でも、同じことが言えます

これはセミナーに限った話ではありません。 人に来てもらう場は、どれも同じつくりをしています。

たとえば、ある介護施設が、地域向けの介護教室を開いているとします。

町内に広くチラシを配っても、初めての方はなかなか来ません。
一方で、毎回来てくださるご家族がいます。

そのご家族への案内に「ご近所の方を一人お連れいただけます」と一言添える。
それだけで、初めての方にとっての入口は、ずっと低くなります。

採用説明会も同じです。

求人広告を増やす前に、いま働いている職員の隣にいる一人に、声が届く形をつくる。

「ここで働いている人が勧めるなら」は、どんな求人票よりも強い一言です。

石川県のように人が少ない地域ほど、隣の一人が効く

石川県や富山県の規模では、広く告知しても、届く人数そのものが限られます。
都市部と同じ集め方をしても、同じ数は集まりません。

その代わり、地方には顔の見える距離があります。

「あの人が行っているなら」が、まだ効く距離です。

私はこれまで2年間で80回以上、研修やセミナーに登壇してきました。

それでも自分の会は、少人数で、手を動かす形にこだわっています。

隣の席の人と画面をのぞき込める距離でないと、学びが続かないと感じているからです。

その距離は、集め方にもそのまま効くのだと思います。

新しい方を呼ぶ5倍の手間は、なくなりません。
ただ、その手間を広く撒くか、隣の一人に使うかは、主催者が選べます。

皆さんの次の会で、常連の方の隣の席は、空いていますか。

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