Gemini Spark「ベータ版」にわくわくする人は、生成AIの新機能で止まらない

「ベータ版」は、未完成の印ではなく、触っていいという招待状。

生成AIやITツールを毎日使っていると、新しい機能が次々に出てきます。

少し前から、Google Gemini の有料版で、チャットの隣に「Spark(ベータ版)」という表示が出てくるようになりました。

正直に言うと、私はまだ Spark を使えていません。

それでも、この「ベータ版」という3文字を見たとき、わくわくしました。

皆さんはどうですか?

「まだ完成していないなら、完成してから使えばいい」と感じる方も多いと思います。

私は逆で、ベータ版の表示を見ると、つい手が伸びます。

この記事では、なぜベータ版にわくわくするのか、そしてそれがなぜ、これからの会社や施設にとって大事なのかを書きます。

使う前から、なぜわくわくするのか

Spark をまだ使っていないのに、わくわくしている。
これは、前にも同じ感覚を味わったことがあるからです。

Canva に「マジックレイヤー」という機能が出てきたときです。

1枚の画像になってしまったデザインは、中の文字を1か所直したいだけでも、作り直すしかありません。 マジックレイヤーは、その1枚の画像を、動かせるパーツに分けてくれる機能です。

最初に表示を見たときは、「本当にそんなにうまくいくのか」と半信半疑でした。

期待しすぎないように、手元の画像で試してみました。

分かれました。 しかも、実際に使える精度でした。

予想より使える。

この瞬間の高揚感は、完成品の使い方を教わったときには味わえないものです。

誰かに「これは便利ですよ」と教えられたのではなく、自分で触って、自分で「使える」と分かった。

この順番だからこそ、そのあと自分の仕事のどこに使えるかを、自分で考え始められました。

Spark にわくわくしているのは、この感覚をもう一度味わえるかもしれないからです。

ベータ版は「未完成」ではなく「試行錯誤していいもの」

完成品は、使い方を覚えるものです。 ベータ版は、試行錯誤していいものです。

この違いは、触る側の気持ちを大きく変えます。

完成品でうまくいかないと、「自分の使い方が悪いのかな」と感じます。

ベータ版でうまくいかなくても、「まだベータ版だから」で済みます。
失敗が自分の評価と結びつかないので、気軽に何度でも試せます。

私は企業研修や職業訓練で、「触る環境がすべて」と伝えてきました。

2年間で80回以上の研修・登壇、800名を超える方に教えてきて、いちばん変化が出るのは、説明を聞いた時間ではなく、自分の手で触った時間です。

ベータ版は、その触る環境が、向こうから来てくれた状態です。

なぜ新しい機能を面白がれる人がいる組織は、止まらないのか

ベータ版を好意的に見られる人には、共通点があると感じています。

1.完成を待たない 

完成を待っていると、完成したころには次のベータ版が出ています。生成AIの機能は、それくらいの速さで変わっています。

2.期待を低めに置いてから触る 

最初から「すごいはず」と構えると、少しの不具合でがっかりします。低めに置いておくと、「予想より使える」を拾えます。マジックレイヤーのときの私がそうでした。

3.うまくいかなかったことを、自分の評価と切り離せる 

うまくいかなければ「今回はここまで」と閉じればいい。それだけのことです。

4.触った結果を、隣の人に話す 

ここがいちばん大事です。1人が面白がって触り、「これ、使えたよ」と隣に話す。組織に新しい道具が広がるのは、研修の資料からではなく、この一言からです。

新しい記録ソフトの試行期間に、手を挙げる職員はいますか

これは生成AIに限った話ではありません。

介護福祉の現場でも、新しい記録ソフトの試行期間、新しい申し送りの様式、新しいシフト表の形など、「まだ試しの段階です」というものが次々に来ます。

「まだ試行版なので、使ってみて意見をください」と言われたとき。

面倒だと感じる職員がいるのは自然なことです。

ただ、その中に「ちょっと面白そう」と手を挙げる職員が1人いる施設は、導入が止まりにくいと感じます。

その1人が触り、使えるところと使えないところを見つけ、隣の職員に話す。
現場の言葉で「ここは使えたよ」と伝わるので、上から説明するよりずっと早く広がります。

大きな会社の事例を待つ必要はありません。
石川・富山の小さな会社や施設こそ、1人の「面白そう」から始められます。

ベータ版の機能は、仕事で使っても大丈夫なのか

ここで、当然出てくる疑問があります。

「ベータ版を仕事で使うのは危ないのでは?」

その通りです。 だから、試す場所と使う場所を分けます。

ベータ版で試すときは、お客様の情報や利用者さんの情報は入れません。

自分で作ったサンプルや、外に出ても困らない資料で試します。
触ることと、業務に組み込むことは別です。慎重さは、この線引きで守れます。

「新しい機能を全部追いかけていたら、疲れてしまう」

これもその通りです。 全部は追いません。

毎日使っている道具の中に、新しい表示が出てきたときだけ、1つ触ってみる。
それくらいで十分です。私も、Spark はまだ触れていません。

先が読めない時代に必要なのは、知識より「構え」

先が読めず、正解が毎月のように変わる時代だと言われます。

VUCA という言葉で表されることもあります。

こういう時代に必要なのは、知識の量ではないと思っています。

「ベータ版」という表示を見て、わくわくできるかどうか。
完成を待たずに、まず1回触ってみる構えがあるかどうかです。

私はこれを、「最終学歴より最新学歴」と呼んでいます。

何を学んできたかより、今日何を触って、何に気づいたか。

職業訓練の DX 講座は7期目に入りますが、毎期、教える側の私がいちばん新しい機能に振り回されています。

それでも、振り回されるのを面白がれるうちは、止まらずにいられると感じています。

Spark をいつ触るかは、まだ決めていません。

ただ、触るときは、たぶんまたわくわくしているはずです。

皆さんはどうですか? 「ベータ版」の表示を見たとき、わくわくしますか。

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