1枚のメモから日報と見積もりとお礼メール|AIエージェントのチームをつくる

10月の石川DX実践会議は、「Claudeで、AIエージェントのチームをつくる」をテーマにします。

今日(9/26)の会では、AIの「スキル」を扱いました。
集まったのは、Geminiの「Gem」を何度も作ったことがある人が多い回でした。

正直に書くと、AIエージェントはワークショップでは難しいと思っていました。

講師が画面で動かして見せて終わるなら、やらないほうがいい。
参加者が自分の画面で動かせないなら、意味がないからです。

今日の参加者の手の動きを見て、考えが変わりました。
この場なら、全員の画面で動かせる。そこで次回、挑戦することにしました。

この記事では、当日に扱う3つの違い(チャット/エージェント/サブエージェント)を先に説明し、そのあとで「見せるだけで終わらせないために、どう組んだか」を書きます。

AIエージェントとチャットは何が違うのか

一番短く言うと、こうなります。

・チャット:聞いたことに答える。毎回こちらから指示が必要
・エージェント:目的を渡すと、ファイルを読み、手順を考え、作業まで進める
・サブエージェント:エージェントが仕事を切り分けて、専門の係に任せる

会社の仕事にたとえると、分かりやすくなります。

今日扱った「スキル」は、マニュアル棚の1冊です。

エージェントは、その棚を渡されて、自分で仕事を進める担当者。
サブエージェントは、その担当者の下で動く専門の係です。

この違いを決めているのは、AIの賢さではありません。

AIに何を「渡しておくか」です。

渡しておくものの正体は2つあります。1つは、会社の説明とルールを書いたメモ。

Claudeでは「CLAUDE.md」という名前のファイルで、メモ帳で書ける文字だけのファイル(MDファイル)です。

もう1つは、フォルダの形。どこに何が置いてあるかを、AIが迷わず分かる状態にしておくことです。

エージェントそのものの説明は「AIエージェントとは何か|毎朝Claudeに任せている仕事で説明します」に、フォルダとメモの話は「チャット欄ではなく、フォルダを開く|Claude Codeの自動と手動の違い」に詳しく書きました。

 

サブエージェントとは何か|1人に全部やらせない

次回の新しいところは、このサブエージェントです。

人の会社で考えてみてください。

訪問から戻った営業担当に、日報も、見積もりの準備も、お礼のメールも、全部1人で同時にやらせることはあまりありません。やらせたとしても、どこかが雑になります。

AIも同じです。

日報を書くときに読む資料と、見積もりを準備するときに読む資料は違います。
お礼メールには、書いてはいけないことがあります。出す形も、それぞれ違います。

これを1つの指示に全部詰め込むと、どれかが崩れます。

私自身、記事づくりの指示を増やし続けた結果、自分の文章ではなくなったことがありました。
いまは媒体ごとに手順を分けています。

だから、係を分けます。

係ごとに「読む資料」「書いてはいけないこと」「出す形」を決めて、担当者(エージェント)がそれぞれに仕事を振る。これがサブエージェントです。

なぜ全員が同じ「架空の1社」で組むのか

エージェントの講座は、見せるだけで終わりやすいと思っています。理由は2つあります。

1つは、一人ひとりの業務が違うこと。
つまずく場所がばらばらになり、講師がその場で全員に追いつけません。

もう1つは、自社の実データを入れようとすること。
出してよい情報かどうかで手が止まり、迷っているうちに時間が終わります。

そこで次回は、舞台を1社に固定します。

株式会社ひがし厨房サービス(架空の会社) 

金沢市内で業務用厨房機器の販売とメンテナンスを行う会社で、営業は5名。訪問先は飲食店・旅館・給食施設です。

材料も1枚に固定します。今日の会でも使った「和食処こまち」(こちらも架空のお店)の訪問メモです。

・食洗機が夜のピークで止まる
・冷蔵庫も見てほしい
・息子さんが継ぐらしい

この1枚のメモを、営業アシスタント(エージェント)に渡します。

その下にいる「日報係」「見積もり準備係」「お礼メール係」が、日報・見積もりの準備・お礼メールの3つを同時に仕上げます。

全員が同じ会社、同じメモで進めるので、隣の人の画面と見比べられます。

つまずく場所も同じなので、その場で直せます。

今日の会では、すでに使っている参加者が、私の説明を補ってくれる場面がありました。
同じ材料なら、エージェントの回でもそれが起きます。

見どころを1つ挙げるなら、3行目の「息子さんが継ぐらしい」です。

日報係は、これをどう扱うか。お礼メール係は、どう扱うか。

同じ一行でも、係によって扱いは変わるはずです。

その違いを、係ごとのメモに書き分けること。それが、係を分ける意味そのものです。

答えは、当日それぞれの画面で確かめてください。

なお、演習はすべて架空の会社で行います。実在の取引先名は入力しません。

当日の流れと、持ち帰るもの

当日は2時間です。

  1. 前回のふりかえりと、今日の舞台の紹介(10分)
  2. チャットとエージェントは何が違うのか。同じメモを渡して比べる(15分)
  3. MDファイルとは。会社のルールをCLAUDE.mdに書く(15分)
  4. フォルダ構造。ひがし厨房サービスの「仕事場」をつくる(15分)
  5. ハンズオン①:Claudeでエージェントを動かす(20分)
  6. ハンズオン②:サブエージェントを組む(20分)
  7. 壁打ち:ひがし厨房サービスに、次はどんな係を置くか(20分)
  8. まとめ・質疑応答(5分)

当日つくる「仕事場」は、こんな形です。

ひがし厨房サービス

・CLAUDE.md(会社の説明とルール。書いていないことは書かない、など)
・顧客(訪問先ごとのメモ)
・製品(取り扱い機器の資料)
・日報(できあがった日報がたまる場所)
・係:日報係/見積もり準備係/お礼メール係

大半がハンズオンと壁打ちで、聞くだけの時間は最小限です。

特に7番の壁打ちに時間を取っています。

「社長ならどの仕事を任せたいか」「その係のメモに何を書くか」を、全員で同じ会社について考え、その場で形にします。

ここで身につけるのは、係の切り分け方です。

当日は厨房機器の会社で練習し、壁打ちでご自身の現場に置き換えます。

介護の現場なら、記録係・申し送り係・ご家族へのおたより係。
建設業なら、日報係・見積もり準備係・安全書類係。業種が変わっても、切り分け方は同じです。

持ち帰っていただくものは4つです。

・ひがし厨房サービスの「仕事場」一式(フォルダ・CLAUDE.md・3つの係)
・自社で使うCLAUDE.mdのひな形
・サブエージェントの作り方の手順
・壁打ちで整理した「係の切り分け方」メモ

テンプレートを配って終わりにはしません。

参加の前に、準備していただきたいこと

今回は、準備が前回より少し多くなります。

【必須】
・ノートPC(今回はPCでの参加をお願いします)
・Google Chrome
・Claudeのデスクトップアプリ(インストールとログインを済ませた状態で)
・Claudeの有料プラン(Pro以上)

前回は3社とも無料アカウントで実習しましたが、今回は有料プランが必要です。
エージェント・サブエージェントの機能は、無料プランでは使えないためです。

アプリは「入れておく」だけでなく、一度開いてログインまで済ませてきてください。
当日その場で準備すると、演習の時間が足りなくなります。

【不問】

・前回への参加(冒頭の10分で要点をふりかえります)
・プログラミングの知識

「前回に出ていないと、ついていけないのでは」と思われるかもしれません。
全員が同じ会社・同じ材料で進めるので、途中で置いていかれることはありません。

「エンジニアでないと無理では」とも、よく聞かれます。書くのはプログラムではなく、日本語のメモです。

まとめ:AIを1人賢くするより、係を分けて置く

  1. エージェントとチャットの違いは、AIの賢さではなく「何を渡しておくか」で決まる
  2. サブエージェントは、仕事を係に分けること。1つの指示に全部を詰めない
  3. 全員が同じ架空の1社で組むから、エージェントでも「見せるだけ」で終わらない

金沢で、同じ机を囲んで、全員が自分の画面で手を動かす会です。

道具が変わる速さに、講師1人ではとても追いつけません。
だから、補い合える場で一緒に更新していきます。最終学歴より、最新学歴。

あなたの会社で、最初に置きたい係は何ですか。当日、その答えを一緒に形にしましょう。

▼次回 石川DX実践会議 

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