
足りないものを9つ数えました。8つは、同じ1か所から連鎖して欠けていました。
海外の研修市場を調べていたら、自分の話でした
依頼が途切れない研修講師には共通点がある。
そう聞いて、海外の研修市場の資料を読みました。
2026年9月のことです。
出てきたのは、講義の上手さの話ではありませんでした。
話し方でもない。教材の作り込みでもない。
書いてあったのは、研修が終わったあとに現場で何が起きたか、それをどう約束して、どう確かめるかという話ばかりでした。
読みながら、自分が施設に出してきた提案書を思い出していました。
日程。時間。人数。当日やること。
読み終えて最初に思ったのは、「当日のことしか書いていない」でした。
強いのは「当日」だけだと分かりました
先に、できているところを書きます。
説明で終わらせない。その日つくったものを持ち帰ってもらう。
座学を減らして、参加者が自分の端末を触っている時間をできるだけ長くする。
ここはずっと守ってきたところです。
そして、この考え方は、読んだ海外の先進事例とほとんど同じでした。
聞くだけの研修は現場で使われない、だから触らせる。同じことが、別の言葉で書いてありました。
ある回では、私の説明より先に、参加者のほうが隣の人に教え始めていました。
手が止まっている人の画面をのぞき込んで、ここを押すんですよ、と。
私はうしろで見ていただけです。その日いちばん効いていたのは、私が話していない時間でした。
うれしい話です。ただ、ここで止めます。
強いところは、もう伸ばす場所ではありませんでした。
なぜ、研修は3回で終わるのか
介護施設で生成AIの研修を組むとき、よくある形があります。
まず触ってみる回。次に自分の仕事に当てはめる回。
最後に、現場で続くようにする回。3回シリーズです。
私もこの形で組んできました。順番には理由がありますし、1回では足りない。
そこは今も正しいと思っています。
問題は、3回目が終わると、関係も終わることです。
最終回のあと、こちらから連絡することはありません。
施設からも来ません。お互いに、これで完了したという顔をしています。
海外では、この形を単発完結型と呼びます。そして、学んだことが現場で使われないまま捨てられる状態——学習転移、つまり教室で学んだことが仕事に移っていくことが起きない状態——を、業界の構造的な欠陥として扱っています。
研修の効果を段階で見る古典的な考え方でも、確かめるべきなのは受講者の満足度ではなく、そのあと現場の行動が変わったかどうかだとされています(The Kirkpatrick Model|Kirkpatrick Partners)。
私はずっと、施設側が3回で満足したのだと思っていました。
違いました。終わらせていたのは、施設ではなく私のほうでした。
数えたら、足りないものが9つありました
読んだ資料を一つずつ自分に当てて、足りないものを数えました。9つありました。
長くなるので、9つのうち4つだけ書きます。
1. 終わったとき、現場の何がどう変わっていれば成功か。これを、始める前に文書にしていない。 日程と人数は書いてあるのに、成功の定義は一行も書いていません。
2. 研修のあと、現場の行動が変わったかを測っていない。 アンケートは取っています。ただ、それは当日の満足度です。
3. 決裁者と、研修前に目標を握っていない。 介護施設なら施設長や事務長です。当日は挨拶に来られます。ただ、その前に会う設計になっていません。
4. アンケートに、他部署にもすすめたいかを聞く欄がない。 紹介が起きても、次に使える形で残っていません。
残りは省きます。並べても同じ形をしているからです。
9つを並べて気づいたのは、ひとつも「当日」の話がなかったことです。
8つは、1つやると同時に埋まります
9つを別々の課題として書き出したとき、正直、うんざりしました。どれも一年がかりに見えます。
ところが、上の4つを見比べていて気づきました。
全部、始める前に決裁者と紙を一枚つくれば片づきます。
その紙に「終わったとき、現場の何がどう変わっていれば成功か」を書けば、1つ目が埋まります。
書いたからには確かめることになるので、2つ目が埋まります。その紙をつくる場に施設長がいるので、3つ目が埋まります。
そして、成功が確認できた場でなら「他の部署にも」と頼めるので、4つ目が埋まります。
紙は一枚です。研修が始まる前に、一度だけ。
新しく覚えることも、増やす作業もありません。順番を入れ替えるだけです。
9つのうち8つは、独立した課題ではありませんでした。
1か所から連鎖して欠けていただけです。
足りないものが9つあると思っていましたが、正しくは、置く場所を1か所まちがえていただけでした。
10月にやること
10月から始まる施設があります。そこでは、初回の提案に「終わったあと」を含めて出します。
日程と人数を書く前に、成功の定義を書いた紙を一枚置く。やることはそれだけです。
うまくいったら書きます。うまくいかなくても書きます。
生成AI・DX研修と、その後の伴走については、こちらに書いてます。
https://www.solobizjourney.com/dx-komon/

