
渡したのは作業ではありません。「数字は苦手です」と先に言ったこと、そちらのほうです。
AIが、私のブラウザを操作しています
最初に書いておきます。これは、仕事が速くなったという話ではありません。
ChatGPTにもClaudeにも、ブラウザをそのまま操作してもらう使い方が出てきました。
難しい仕組みではありません。
ブラウザに機能を追加すると、いま自分が開いている画面をAIがそのまま見て、代わりにクリックしたり、条件を組み立てたりできるようになります。
画期的な進歩だと思っています。
ただ、この記事で書くのは操作の手順ではありません。次の2つだけです。
1つ目は、渡すときのアカウントの条件。2つ目は、渡す前に決めておくことです。
そして2つ目のほうが、はるかに大事でした。
AIにブラウザを操作させるには、どのアカウントが必要ですか
先に条件から書きます。ここが分からないまま始めると、たいてい途中で止まります。
1. 有料プランが前提になります。
無料のままでは動きません。
プランの名前も条件も各社で変わりますので、始める前に公式の案内を一度確認してください。
2. IDとパスワードを渡しているのではありません。
ここが一番の誤解です。AIが見ているのは、自分がすでにログインした状態の画面です。
鍵を預けているのではなく、自分で開けた部屋に入ってもらっている。この違いは大きいと思っています。
3. 画面ごとの許可制です。
全部が見えるわけではありません。許可した画面だけを触ります。
4. 会社のアカウントは、管理者が機能の追加を止めていることがあります。
実務でいちばん詰まるのがここです。
会社で使うなら、自分の判断で入れずに、情報システムの担当者か管理者に一声かけてください。
順番を守ったほうが、結局は早く進みます。
5. 他人のアカウント、お客様のアカウントでは使わない。
最初は自分の持ち物だけにする。失敗が自分にしか返ってこない場所から始める、ということです。
6. 送信・課金・削除・公開は、自分が押す。
これについては最後にもう一度書きます。
7. 「画面を見せる方法」と「データだけつなぐ方法」は別物です。
後者は接続という言い方をして、画面を触らせずに数字だけを読ませます。用途で使い分けます。
条件は以上です。ここまでは、調べれば出てくる話でもあります。
問題はこの先でした。
私が2年間、開いては閉じていた画面
恥ずかしながら、私はとても数字が弱いのです。
2023年12月から、1日も欠かさず書いてきました。
noteだけで1,004本になります。ブログも同じように続けています。
ですから当然、アクセス解析の道具は入れてあります。
サーチコンソール(検索でどう見えているかを見る無料の道具)も、アナリティクス(サイトに来た人がどう動いたかを見る道具)も、ログインできる状態でずっとありました。
入れてあるだけでした。
開く。数字が並んでいる。それが自分の商売にとって良いのか悪いのか分からない。
分からないまま閉じる。これを2年繰り返していました。
勉強すればいい、とは思っていました。
1時間あれば基本くらいは掴めたはずです。時間がまったく無かったわけでもありません。
それでも手をつけなかった。ここを「怠けていた」で片づけると、たぶん何も変わりません。
苦手は「勉強する」の棚に置かない。担当ごと降りる
私が変えたのは、順番ではありませんでした。担当のほうです。
苦手なことを「いつか勉強する」の棚に置くと、その順番は永遠に回ってきません。
明日の研修資料、今日の記事、返していないメール。
その後ろに並んだまま、前に出てこない。2年というのは、そういう長さです。
勉強しようとする姿勢は正しいのです。ただ、正しさは着手を生みません。
だから、数字を読む係を自分から外しました。
「分かるようになってから使う」ではなく、「分からないまま渡して、読み方のほうを教わる」に変えたということです。
私は「最終学歴より、最新学歴」という言い方をよく使います。
今日何を学んだかがすべてだ、という意味で使ってきました。
今回はそこに1つ足りていなかったと思っています。
学び直す前に、自分が何を苦手にしているかを申告する工程です。
これは会社の話にすると、もっとはっきりします。
「請求の数字は苦手です」「帳票は開いても分かりません」。
これを言える職場と、言えない職場があります。
多くの現場で、苦手は隠れたまま外注に回っていきます。
外に出しているのは、作業ではないのだと思います。
「分からない」と口に出す場所のほうを、外に置いている。
このあたりのことは、9月4日の記事にも書きました。
あわせて読んでいただければと思います。
実際に渡した3つの画面と、返ってきたこと
つないだのは3つです。アナリティクス、サーチコンソール、そして刷新されたnoteのダッシュボード。
アナリティクス。
分かったのは、初期設定のまま用意された画面を眺めていただけだった、ということでした。
自分で条件を組んで見たい形に並べ直す、ということを一度もしていませんでした。
サーチコンソール。
3か月で表示が9,200回、クリックが374。
平均の掲載順位は9.8でした。検索結果のだいたい1ページ目の下のほうです。出てはいるのです。
問題はその中身でした。
仕事につながる言葉で来ているのは、9,200のうち77表示。0.8%でした。
書く量が足りないのではありませんでした。
書いている言葉のほうが違っていたということです。
noteのダッシュボード。
これは新しくなって、初めて「何回表示されたか」が見えるようになりました。
過去28日で、表示が34,783回。実際に読まれたのが1,526。
開かれた割合は4.4%です。
言い換えると、表示された95.6%は開かれていない。 1日あたり1,242回も表示されているのに、です。
ここでも、書く量の問題ではありませんでした。タイトルの問題でした。
正直に書くと、褒められると思っていました。2年続けているのだから、と。
返ってきたのは全部、指摘でした。
ひとつ、先に答えておきたいことがあります。
「AIに読ませたら、都合よく解釈されるのでは」という疑問です。
もっともだと思います。ただ、
数字は元の画面にあります。AIが出しているのは読み方であって、数字ではありません。
おかしいと思えば、元の画面に戻って確かめられます。そこは変わっていません。
AIにブラウザを触らせると、情報は漏れませんか
これも、はっきり書いておきます。「絶対に安全です」とは書けません。
ただ、危ないのは機能そのものではなく、渡す画面の選び方だと思っています。
私が渡したのは、自分のサイトの解析画面だけです。
お客様の情報も、職員の名前も、請求の中身も入っていません。
自分の失敗が自分にしか返ってこない場所だから、気軽に渡せた。人様の会社のアカウントで同じ手つきをしたら、まったく別の話になります。
会社で使うなら、禁止事項を並べる前に、逆から決めるほうが早いと思います。
「渡してよい画面はどれか」を1枚だけ決める。
禁止のリストは、増やしても現場は動きません。
これについては8月20日の記事に書きました。
もう1つ。AIに渡した権限と、ファイルの共有設定は別物です。
共有していないつもりの表をAIが読んだ、ということが実際に起こります。
こちらは8月7日の記事に書いています。
実行ボタンは、私が押しました
画面を見せる。読ませる。改善の案を出させる。ここまではAIです。
送る。消す。公開する。課金する。
ここから先は、私が押します。
苦手を渡すことと、判断を渡すことは違います。私が降りたのは、数字を読む作業のほうです。
どう書くかを決める責任のほうは、降りていません。
というより、読み方を教わったことで、決められるようになりました。
0.8%という数字を見たあとで、次に何を書くかを決めるのは、やはり自分の仕事です。
道具に使われるのと、道具を使い倒すのを分けているのは、たぶんこの一線だけだと思っています。
月曜にできる3つ
難しいことは何もありません。
1. 自分の苦手を1つ、口に出して書く。
「数字が苦手」で構いません。ここが出発点です。
2. 自分の持ち物の中から、渡してよい画面を1つだけ選ぶ。
お客様の情報が入っていない画面にしてください。
3. 「どこを見ればいいですか」と聞く。
質問はこれだけで足ります。上手な聞き方を用意する必要はありません。
道具を入れたところまでは、たいていの会社が正しいのです。
止まっているのは、その次の1画面だけです。
あなたの会社で、いちばん長く「あとで」の棚に置かれている画面は、どれでしょうか。
苦手なところを先に申告して、そこから触ってみる。そういう進め方の研修をしています。
→ https://solobizjourney.com/dx-kenshu/

