
番号は「並び順」という仕事を、きちんと果たしていました。
果たしていなかったのは、分類の軸を1つに保つことでした。
※本記事は2026年8月時点の情報と、私自身の環境での画面表示・挙動にもとづいています。
仕様も画面の名称も変わりますので、実際の設定はご自身の環境でご確認ください。
私のマイドライブの第1階層を、そのまま出します
前回まで2回、Google Workspace の話を書きました。
1回目は「全部使おうとしなくていい」という話。
2回目は「法人の書類をどこに置くか」という話でした。
置き場所を決めたら、次に来るのは名前です。フォルダをどう分けて、どう名づけるか。
研修でこの話になると、必ず出てくるやり方があります。
フォルダの頭に番号をつける。
1. 2. 3.と振っておけば、並び順が揃う。使う順に並ぶ。新しいものは後ろに足せる。
実際、この方法はよく紹介されていますし、私自身も1年以上これでやってきました。
では、その1年の結果をお見せします。私のマイドライブの第1階層です。
1.進行中 2.素材 3.セミナー 4.商工会 5.人的リソース 6.地方創生デジタルラボ 7.仕事探し 8.生活 9.note 13.〇〇さん(取引先の方の個人名) 14.gBiz 31.確定申告 800.完了
13個です。きれいに揃っているように見えます。
10・11・12 が、ありません
お気づきになった方もいると思います。9 の次が 13 です。
10・11・12 がありません。3つ分の欠番です。
そして、自分で番号を振ったのに、なぜ空けたのかを思い出せません。
何かを入れる予定があったのか。消したフォルダの跡なのか。
9まで埋まったところで、いったん区切りをつけたかったのか。
どれも、それらしい理由に聞こえます。でも、確かめる方法がありません。
31 もそうです。なぜ 15 ではなく 31 なのか。
800 も同じです。なぜ 100 でも 999 でもなく 800 なのか。
理由が残っていないのです。
番号は「何番目か」しか記録しません。「なぜその番号なのか」は、どこにも残らない。
自分で決めたルールなのに、1年後の自分に説明できませんでした。
これは、他の人には最初から説明できないということです。
職場でこれをやっていたら、後から入った職員さんは、この番号の意味を誰からも教わることができません。
なぜフォルダに番号をつけても、整理にならないのか
ここで、私は最初に別のことを疑いました。
「エクスプローラーとブラウザで、並び順が違っているのではないか」
Windows のエクスプローラーで見たときと、ブラウザで Google ドライブを開いたときで、番号の並びがずれているのではないか。
もしそうなら、番号をつけても意味がありません。
ずれるからこそ、私は場所を覚えられていないのではないか。
そう思って、両方を開いて確かめました。
同じでした。
どちらも1 2 3 … 9 13 14 31 800 の順に、数値として並びます。1の次に 13が来るような、文字としての並び方はしていませんでした(2026年8月時点/私の環境での表示です)。
つまり、番号はきちんと仕事をしていたということです。並び順を揃えるという仕事は、果たしていた。
疑って、確かめて、外れました。
だから、問題は並び順ではありません。
別のところにあります。
13個を、軸で並べ直してみます
疑いが外れたので、今度は中身のほうを見ました。13個のフォルダが、それぞれ「何で切られているか」を並べ直してみます。
| 分類の軸 | 該当するフォルダ |
|---|---|
| 状態 | 1.進行中 / 800.完了 |
| 種類 | 2.素材 / 5.人的リソース |
| 業務 | 3.セミナー / 7.仕事探し / 31.確定申告 |
| 組織・案件 | 4.商工会 / 6.地方創生デジタルラボ |
| 個人 | 13.〇〇さん |
| 媒体 | 9.note |
| サービス名 | 14.gBiz |
| 公私 | 8.生活 |
8つの軸が、同じ階層に並んでいました。
状態で切ったフォルダと、業務で切ったフォルダと、取引先の個人名で切ったフォルダが、横一列に並んでいる。番号がついているせいで、全部が同じ種類のもののように見えていました。
そして、これが「迷う」の正体です。
セミナーで使う素材は、2.素材 か 3.セミナー か。
商工会でやったセミナーの資料は、3.セミナーか 4.商工会 か。
確定申告に使う領収書は、31.確定申告 か 8.生活か。
どちらにも理由があります。だから、決まりません。
決まらないときに人が何をするかというと、新しいフォルダを作ります。
どちらにも入れづらいから、もう1つ箱を作って、そこに入れる。
その瞬間は解決したように感じます。
13・14・31 は、たぶんその跡です。
「フォルダが増えて困っている」という相談を現場でよく受けますが、増えているのは、だらしないからではありません。
軸が混ざっていて決められないから、増えているのだと思います。
番号は、混ざっていることを隠します
ここが、今日いちばん書きたかったところです。
番号がついていると、整理されているように見えてしまいます。
頭が揃う。並び順が揃う。画面のスクリーンショットを撮ると、それなりに整った印象になります。
でも、揃っているのは見た目だけです。
中で使われている分類の軸は、8つのまま混ざっています。
見た目が揃うせいで、軸がばらばらであることに気づけません。
番号は無駄だと言っているのではありません。
並び順という仕事は、きちんと果たしていました。
果たしていなかったのは、軸を1つに保つという別の仕事です。
そして番号は、その仕事がされていない事実を、静かに覆い隠します。
だから、この記事は「番号をやめましょう」という話ではありません。
番号の下で何が起きているかを、一度だけ見てくださいという話です。
終わったフォルダは、どう扱えばいいのか
もう1つ、自分の画面から白状します。
800.完了は、1年前に作りました。終わった案件をここに移すつもりで作った箱です。
ほとんど、何も入っていません。
理由は、箱が無いからではありません。箱はあります。無いのは、「完了」の定義です。
この案件、終わった? → たぶん。でも、まだ問い合わせが来るかもしれない
もう動いていない? → 動いていない。でも「終わった」と決めていいのか
こう考えた瞬間に、手が止まります。そして「また今度にしよう」となる。
判断が要る作業は、必ず後回しになります。
これは意志の弱さの話ではなく、作業の設計の話です。
だとすると、決めるべきものは移し先ではありません。日付です。
この日を過ぎたら、中身を見ずに移す
半年でも1年でも構いません。決めるのは期間で、判断ではない。
中身を見て判断させた瞬間に、その作業は止まります。
この「中身ではなく、日付を決める」という形は、以前セキュリティの連載でも書きました。社内ルールの話です。
▶ 生成AIの社内ルールは、半年で古くなります|作った後の運用をどうするか
ルールも、フォルダも同じでした。
中身を完璧に決めようとすると動かない。次にそれを触る日を決めると、動きます。
AI時代に変わったこと
ここまでは、整理整頓の話です。
正直に言えば、去年までなら、私もそこまで急ぎませんでした。
散らかっていて困るのは、探すのに少し時間がかかることくらいだったからです。
いまは、違います。
| 現在・過去 | 終わったフォルダを放置すると |
|---|---|
| これまで | 見づらい。探すのに少し時間がかかる。それだけ |
| いま | AIが古い書類を読んで、古い答えを返す |
Google ドライブの中身を Gemini や NotebookLM に読ませて、「この様式の書き方を教えて」「去年の実績をまとめて」と聞く。もう、多くの現場でやっています。私もやります。
このとき、フォルダの中に去年の様式と今年の様式が両方入っていたら、どうなるか。
AIは、どちらが正しいかを知りません。
日付を見て新しいほうを選ぶ、とも限りません。両方を読んで、それらしい答えを1つ返してきます。
しかも、その答えは間違いの顔をしていません。
去年は確かに正しかった内容なので、筋が通って読めます。「古い正しさ」として返ってくるわけです。
これが、いちばん厄介です。明らかな誤りなら気づきます。去年の正解は、気づけません。
これまで、フォルダの散らかりは「見づらさ」の問題でした。
いまは、「答えの正しさ」の問題です。
人手不足の地方の中小企業や介護・福祉の法人ほど、AIに調べさせて時間を浮かせたい場面は多いはずです。
私もそこを推してきました。
だからこそ、読ませる場所に古い書類が残っていることの意味が、去年までとは変わりました。
AIに使われるのではなく、使い倒す。そのためには、読ませる棚の中身を自分で握っていないといけません。
明日から、やることは3つだけです
ここまで書いておいて何ですが、「正しいフォルダ構成はこれです」とは書きません。
書けないからです。業務で切るのがいいのか、取引先で切るのがいいのか、案件で切るのがいいのかは、その職場が何を単位に仕事をしているかで変わります。
私が自分の13個をまだ直せていない人間なので、なおさら言えません。
代わりに、点検のしかただけ置いていきます。3つです。
1. 全部を作り直さない
私の13個を並べ替えるとしたら、それなりの時間がかかります。
そして、途中で終わります。全社でやれば、なおさらです。大掃除は続きません。
2. 新しく作るときだけ、軸を1つに決める
これから作るフォルダについてだけ、「これは何で切ったのか」を一度考える。
状態なのか、業務なのか、相手なのか。
1つに決めて、混ぜない。
既存の13個は、そのままで構いません。新しく作るときだけです。
3. 「完了」に移す日を決める。中身を見ずに動かせる基準にする
半年でも1年でもいい。期間だけ決めて、来たら中身を見ずに移す。判断を挟まない形にしておく。
この3つなら、明日できます。少なくとも、私はここから始めています。
最後に、正直なところを書きます。
私はこの連載を、教えるために書いているというより、
自分の画面を開き直しながら書いています。
管理画面をきちんと見たのも、フォルダを軸で並べ直したのも、この連載を始めてからです。
開くたびに、思っていたのと違うものが出てきます。
最終学歴より、最新学歴。
1年前の自分が決めたルールは、1年前の自分にとっての最適解でした。
それを疑うのは、過去の自分を責めることではありません。
ただ、今日の画面を今日の目で見るというだけのことです。
御社・御施設のドライブの第1階層には、いま何が並んでいますか。それは、何で切られていますか。
一度、声に出して分類してみてください。混ざっていたら、それが出発点です。
「うちはどこから手をつければいいのか」が分からない方へ。
13問・60秒の無料診断を置いています。
設問に答えていくだけで、いま御社がどの段階にいるのかが分かります。

