
共有設定は「誰に見せるか」。連携の許可は「何を任せるか」。別の設定なのに、どちらも「読めた」という同じ顔で出てきます。
※本記事は2026年8月時点の、私の環境での画面表示と挙動にもとづいています。
画面の文言も仕様も変わりますので、実際の設定はご自身の画面でご確認ください。
共有していないのに、読めた。
先日、自分のGoogleドライブにあるスプレッドシートを、AIに読ませて集計させようとしたときのことです。
共有設定は何もいじっていませんでした。
だから当然、「アクセスできません」と返ってくるものだと思っていました。
URLを渡して、断られたら共有設定を変えよう、くらいの気持ちでした。
読めました。
一瞬、意味が分かりませんでした。共有していないファイルが、なぜ読めるのか。
仕様に詳しい方なら「そりゃそうだ」という話かもしれません。
でも私は知りませんでした。使っていて、たまたま出くわしただけです。
そして、この「たまたま」を放置しなかったおかげで、自分が何を渡していたのかを知ることになりました。
原因は2つあって、意味が正反対
調べていくと、この「読めました」には二通りの原因があることが分かりました。
| 何が起きているか | |
|---|---|
| A | AIが自分の権限を借りて開いている。共有設定は正常 |
| B | そのファイルが実際に公開されている。誰でも読める |
問題は、画面上はどちらも「読めました」としか出ないことです。
理由の説明はなく、ただ中身が返ってきます。
同じ結果なのに、危険度は正反対です。Aなら設定は間違っていない。
Bなら、今この瞬間も、URLを知っている誰かが中身を見られる状態にあります。
だから、慌てて共有設定をいじる前に、まずどちらなのかを確かめます。
ここを飛ばすと、直さなくていいものを直して、直すべきものを見逃します。
見分け方は1分で済みます
やることは一つだけです。
シークレットウィンドウ(プライベートウィンドウ)を開いて、そのファイルのURLを貼る。
自分のアカウントでログインしていない状態で開くとどうなるか、を見るわけです。
- ログイン画面やアクセス権のリクエスト画面が出た → A。公開はされていません
- 中身がそのまま見えた → B。今すぐ共有設定を「制限付き」に戻してください
私の場合はAでした。
念のため共有設定も開いてみましたが、「制限付き(アクセス権のあるユーザーのみが開けます)」のまま。設定は、何も間違っていませんでした。
ここで「なんだ、大丈夫だったのか」で終われば、この記事は書いていません。
設定が正常なら、では、なぜ読めたのかという問いが残るからです。
私が「渡していた」もの
答えは、共有設定の側にはありませんでした。
Googleアカウントの、外部サービスとの連携を許可した一覧。
そこにAIサービスの名前があり、詳細を開くと、渡していた権限がこう書かれていました。
ドライブのすべてのファイルの表示、ダウンロード
すべて、と書いてあります。
一方で、同じ画面の別の行にはこうありました。
編集や削除については「このアプリで使う特定のファイルのみ」に限定されている、と。
つまり、こういうことです。
書き換えることは限定されているのに、読むことは全部できる。
これ、感覚が逆になりやすいところだと思います。「壊されない」「消されない」と書いてあると安心してしまう。
でも情報漏洩という観点で怖いのは、書き換えより読めることのほうです。
壊されたら気づきます。読まれても、何も起きません。
そして白状すると、私はこれを許可した記憶がありませんでした。
便利そうだから「許可」を押した。押した瞬間に何が書いてあったかは、見ていない。
誰かに騙されたわけでも、サービス側が隠していたわけでもありません。
画面には最初から書いてありました。私が読まなかっただけです。
棚卸しは10分。ただし、消す前に
そのまま一覧を眺めてみました。何年も前に一度だけ使ったきりのサービスが、ずらりと並んでいます。
私のアカウントでは、59件ありました。
多いのか少ないのかは分かりません。ただ、59件のうち何を渡しているか説明できるものは、正直、半分もありませんでした。
ここで「不要なものを消しましょう」と書くのが普通だと思います。
でも私は、実際にやってみて二回つまずきました。
一つめ。同じ名前が2つ並んでいたので片方を消したら、両方消えました。
一覧の読み方すら分かっていなかったわけです。
名前が同じでも中身が違うのか、同じものが二重に表示されているのか、見ただけでは判別できませんでした。
二つめ。消したら、日々使っているルーティンが止まりました。
毎日動いていたはずの処理が、翌朝、静かに動かなくなっていました。
つなぎ直したら元に戻りましたが、原因にたどり着くまでに時間がかかりました。
だから、この記事での提案は「不要なものを消しましょう」ではありません。
「消したら何が止まるかを、先に把握しましょう」です。
そして、これはぜひ書いておきたいのですが——間違って消しても、許可し直せば戻ります。
取り返しがつかない操作ではありません。
ここを知らないまま「怖いから触らない」となるのが、いちばんもったいない。
「AIと連携させなければいいじゃないか」という声もあると思います。
でも、私のルーティンが止まったという事実がその答えです。連携には理由があります。
使っているから止まったんです。止めることではなく、把握して使い続けることのほうが、現実的だと考えています。
石川県の中小企業は、少ない人数で、一人が何役も持って回っています。
だからこそ、こういう連携は本当に効きます。
効くからこそ、何を渡したかを本人が説明できる状態にしておきたい。
渡すこと自体が悪いのではありません。
なお、この連載では第2回で「渡した鍵を返してもらう手順がない」話を第2回はこちら、第3回で「学習・保存・共有」という三つの軸の話を書きました第3回はこちら。
今回は、その三つのうち「共有」の回にあたります。
三つめの軸が、実は共有設定だけでは閉じないという話です。
今日やることは、2つだけ
共有設定は「誰に見せるか」。連携の許可は「何を任せるか」。
まったく別の設定なのに、どちらも「読めた/読めない」という同じ結果として画面に出てきます。
だから混同します。私も混同していました。
今日やることは2つです。
- 気になるファイルのURLを、シークレットウィンドウに貼る(1分)
- 連携の許可の一覧を開いて、眺める(10分。消さなくていい。眺めるだけ)
それだけで、自分が何を渡しているかが見えます。
見えたうえで使い続けるのと、見ないまま使い続けるのとでは、同じ「使っている」でも中身がまったく違います。
研修でも、ツールの使い方より先に「今、何を渡しているか」を一緒に見ることがあります。
使うのをやめてもらうためではありません。
把握したうえで、安心して使い続けてもらうためです。
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