
前回のLinkedin記事で、サッカーの壁パスの話を書きました。
AIとの壁打ちは、一見すると前に進んでいるようで、実は同じ場所で打ち続けているだけかもしれない——そういう内容です。(前回記事)
壁パスには、決定的な性質がひとつあります。
パスを出しても、自分が走らなければボールは受け取れない。
では、毎回どうやって走ればいいのか。
今回はその具体的な方法を、1分でできる設定とあわせて書きます。
走れない理由は、走る先が決まらないから
白状すると、前回の記事を書いた本人が、その後もいつもと同じ聞き方で、長時間の壁打ちを続けていました。
人は同じことをしていると落ち着くのかもしれません。
いつもの聞き方で、いつもの答えが返ってくる。
安心して打ち続けられる。それ自体は悪いことではなく、壁打ちの正しい機能だと思います。
ただし、止まるのは上達だけです。
なぜ走れないのか。理由を言葉にすると、こうなります。
走ろうとするたびに「で、どこへ?」を自分で考えなければならない。
この判断のコストが高すぎるのです。
新しい機能を調べる時間も、次に何を学ぶべきか考える余裕もない。
だから結局、いつもの位置に戻ってパスを出す。
走る先の合図を、AI側に仕込む
そこで発想を変えました。
走るのは自分のまま。変えるのは、「合図を誰が出すか」です。
サッカーでも、味方が「あっちだ」と走る先を指差してくれれば、迷わず走り出せます。
しかも、プレー中に毎回叫んでもらう必要はありません。
試合前に「こういうときは、こっちに出すよ」と約束しておけばいい。
その「試合前の約束」をChatGPTに渡しておける機能があります。それがカスタム指示です。
毎回考えるのが無理なら、考えるのをやめて、合図をもらう形にする。
私にとってはこの反転がすべてでした。
走る先を探す仕事を、AIの側に渡してしまうのです。
ChatGPTのカスタム指示とは何ですか?
行きつけの美容室を思い浮かべてください。
初めての店では「短めで、耳は出して」と一から説明しますが、通い慣れた店なら「いつもので」が通じます。カルテに書いてあるからです。
カスタム指示とは、ChatGPTに毎回自動で読ませておく「お願い事のメモ」です。
一度書けば、以降の新しい会話すべてに反映されます。
毎回同じ前置きを打つ必要がなくなる、AI版のカルテだと思ってください。
入力欄は2つあります。
「あなたについての詳細」は自己紹介(職業・立場・目的)を書く欄。
「カスタム指示」は返し方の希望を書く欄。今回入れる一行は後者です。
初めて設定する方がつまずきやすい点を3つだけ。
- 無料プランでも使えます(有料機能ではありません)
- 既存のチャットには反映されません。設定したら必ず新しいチャットを開いて確認してください
- PCとスマホアプリの内容は自動で同期されます。どちらか一方で設定すればOKです
設定方法(1分で終わります)
PCの場合: 画面の「設定」→「パーソナライズ」→「カスタム指示」
スマホの場合: アプリを開く→左上のメニュー→右上のアイコン→「パーソナライズ」
保存ボタンを探す必要はありません。書いて閉じれば自動で保存されています。
カスタム指示には何を書けばいいですか?
私が実際に入れている一行が、こちらです。そのままコピペしてください。
回答の最後に、一段上の使い方(GPTs/ MCP/Skills/Codex/自動化/他ツール連携)があれば、一言だけ添えてください。
これが「走る先の指差し」にあたります。
質問への答えは今まで通り返ってきます。
変わるのは、その隣に毎回「次の一歩」が一言だけ置かれるようになることです。
ポイントは「一言だけ」です。
ここを外すと、毎回長い提案リストがぶら下がってきて、数日で邪魔になり、せっかくの設定を外すことになります。続けられる設計にすることが目的なので、この三文字は削らないでください。
聞き方そのものを変えたい人は、「私が今回使わなかった切り口を1つだけ挙げてください」という書き方もあります。
実際どうなるか
この一行を入れると、毎回ひとつ、知らない単語が流れてくる状態になります。
すぐに使わなくて構いません。「MCP」(AIを外部サービスにつなぐ仕組み)、「Codex」(作業を代行するAIツール)——まず耳が慣れるのが先で、必要になったときに「あ、あれか」と手が伸びます。
私はこれを「単語の貯金」と呼んでいます。
研修の現場でも、やることが多すぎて固まってしまう方には「今は名前を知っておくだけでいいですよ」という声かけが一番効きます。
貯金は、使うときが来てから引き出せばいいのです。
結び
前回は「自分が一歩前へ動け」と書きました。
今回もそこは変わりません。走るのは自分です。
変えたのは、走る先を毎回自分で考えるのをやめたこと、それだけです。
設定画面を開くのは1分。
次の会話から、あなたがボールを受け取る位置は半歩前になります。

