廃校がインキュベーション施設に変わる時代、足りないのは「ハコ」ではなく「DX・生成AIを教える人」

今日セミナーをした会場は、元・小学校だった

今日、金沢市内でセミナーに登壇しました。

会場は「金沢未来のまち創造館」。
きれいに整えられた、明るいセミナースペースです。

でも廊下を歩くと、教室の窓の並びに小学校の面影がそのまま残っていて、館内には当時の黒板や棚が、あえて残されています。

それもそのはず。

ここは2013年に閉校した、旧・野町小学校の校舎を改修した施設。
いわゆる「廃校活用」で生まれた場所なのです。

チョークの匂いがしそうな空間で、大人たちがパソコンを開いている。
この光景から、今日は書きたいと思います。

「卵をかえす場所」—インキュベーション施設とは

創造館は、スタートアップや新ビジネスの創出を支援する、いわゆるインキュベーション施設の機能を持っています。

インキュベーション(incubate)とは、「卵をかえす」という意味。
起業や新規事業という卵を、安価なオフィス、相談員、人が交わる場で温めて、孵化させる施設のことです。

子どもを育てていた場所が、事業を育てる場所に変わった。

育てる対象が変わっただけで、この建物の役割は、実は何も変わっていないのかもしれません。

ハコは、これからも増える。それは歓迎すべきこと

全国のデータを見てみます。

少子化により、全国では毎年約450校が廃校になっています。
2004〜2023年度の廃校は、延べ8,850校。

そして現存する約7,600校のうち、74.4%はすでに何らかの用途で活用されています。
(出典:文部科学省「廃校施設活用状況実態調査」/「みんなの廃校プロジェクト」)

誤解のないように、先に言っておきます。
私はこの流れを歓迎しています。

使われなくなった校舎が、壊されずに、地域の挑戦の場に生まれ変わる。
7割以上がすでに次の役割を得ているというのは、むしろ希望のある数字です。

問題は、ハコではありません。

でも、「教える人」は自動的には増えない

ひとつ、質問させてください。

石川で、生成AIをハンズオンで教えられる人を、あなたは何人知っていますか?

施設は、予算がつけば建ちます。
でも、そこで教える人は、予算がついても生まれません。

経済産業省の試算では、2030年にIT人材は最大で約79万人不足するとされています
(出典:経済産業省「IT人材需給に関する調査」)。

79万人の穴を、都市部から講師を呼んで埋め続けるのは無理があります。
コストは高く、単発で終わりやすく、何より地域の現場感を知らない。

ハコが増えるほど、「そこで教える人がいない」という穴も増えていく。
これが、元・小学校のセミナースペースに立って考えたことです。

私の対策:教える人の「地産地消」

だから私は、教える人の「地産地消」を試しています。

外から呼ぶのではなく、地域で学んだ人が、地域で教える側に回る。
その循環を、石川DX実践会議という小さなコミュニティで実験しています。

まだ小さな取り組みです。
でも昨日、その循環が一周回りました。

AppSheet応用編のセミナーで、もともと参加者だった中尾さんが、講師として登壇したのです。
詳しくは、昨日の記事に書きました。

▼講師をしない日 ― AppSheet応用セミナーで、参加者が講師になった

私はいつも「最終学歴より、最新学歴」と言っています。

何年前にどこを卒業したかではなく、いま何を学んでいるか。
現場で学び続けている人が、次に教える側に回る。

教える人の地産地消は、この言葉の実践そのものです。

▼石川DX実践会議
https://solobizjourney.com/dx-kaigi/

▼中尾さんのnote
https://note.com/ishikawa_dx

ハコが増えるなら、人も地域で育てるしかない

全国にインキュベーション施設が増える未来は、もう来ています。
元・小学校の教室で、事業という卵が温められる。いい時代だと思います。

ただ、卵は温める人がいて、初めてかえります。

問われるのは、「誰が、何を、続けるか」。

私は石川で、教える人の地産地消という小さな循環を、回し続けます。

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