
「公開」で終わったデータは、まだ資産じゃない。
「オープンデータを市民が使えるように」——全国どこの自治体も、そう掲げています。
実際、市区町村のホームページを開けば、人口統計、観光客数、施設一覧、防災情報。
データは確かに公開されています。
オープンデータ(行政が誰でも使える形で公開しているデータ)の整備は、この10年でずいぶん進みました。
では、質問です。
あなたの町のデータを、市民が実際に「使える」ようになっているでしょうか。
私は金沢でDX支援の仕事をしながら、ずっとこの問いが引っかかっていました。今日はその話を書きます。
公開されている。でも、使われていない
多くの自治体のオープンデータは、「CSVをダウンロードできます」で止まっています。
CSV(表計算ソフトで開ける生データ)をダウンロードして開くと、そこにあるのは何万行の数字の羅列。
市民はもちろん、公開している職員の方でさえ、これを読み解いて意思決定に使えるかというと、正直難しいはずです。
誤解のないように言うと、自治体を責めたいのではありません。
「公開する」までの仕事は、きちんとやりきっている。
惜しいのは、その先の仕組みです。
「結局、活用するにはシステム会社に発注するしかない」
もしそうなら、残念だと私は思うのです。
せっかく税金で集めて公開したデータが、また税金を使わないと読める形にならないなんて。
無料で使えるツールは、実はもうある
ここで紹介したいのが、Looker Studio(旧:Googleデータポータル) です。
- 無料で使える
- インストール不要、ブラウザだけで動く
- Googleスプレッドシートとつなぐだけでグラフになる
- 共有はURL1本。相手はクリックするだけ
専用の分析システムを開発すれば数百万円の世界。
それが無料で、しかも特別なIT知識がなくても始められる。
「データ活用は業者に頼むもの」という前提は、もう崩れています。
ただし、正直に言います。
使えるツールが「あること」と、市民が「使えるようになること」は、別問題です。
私自身、それを今まさに体感している最中なので。
実際にやってみている—観光アンケート1万件のダッシュボード化
いま私は、金沢エリアの観光客アンケート11,169件・42項目(2023年10月〜2026年7月)のCSVを分析しています。
ファイルを開いた瞬間、「公開データが使いにくい」の典型例が全部詰まっていました。
- 列名が設問文そのままで、1行目から長文がずらり
- 金額が「10,000円以上20,000円未満」という文字列。このままでは平均も合計も計算できない
- 複数選択の回答が1つのセルに詰め込み。集計しようがない
データは「ある」。でもこのままでは誰も使えない。
まさに、この記事で書いてきた問題そのものです。
そこで、ダッシュボード(複数のグラフを1画面にまとめた分析画面)として
「誰が来た → いくら使った → どう感じた」 が順に見えていく4ページ構成を設計しました。
現在は設計を終えて、制作の真っ最中です。
完成したら、つまずいたポイントも含めて「実際に作ってみた」を後編として公開します。
うまくいった話だけでなく、泥臭い失敗も一次情報としてお届けするつもりです。
足りないのはツールではなく、「使い方を教わる場」
ここまでを整理すると、こうなります。
- ツールは無料である
- データは公開されている
- 欠けているのは、その間をつなぐ「教育」
私はこれまで、企業研修や職業訓練の現場で、ハンズオン・少人数・伴走型にこだわって教えてきました。パソコンが得意でない方が「自分でできた」に変わる瞬間を、何度も見てきました。
だから次にやることは決めています。
市区町村が提供するデータを、県民・市民が自分の手で使えるようになるセミナーを、これから開催していきます。
自治体や観光協会の職員の方も、地域の経営者の方も、「データはあるけど、どう使えば…」と感じているなら、その悩みこそがセミナーの出発点です。
まとめ:オープンデータは「使える人」が増えて初めて資産になる
オープンデータは、「ある」だけでは資産になりません。
読める人、使える人が地域に増えて、初めて資産になります。
そしてそのために必要なものは、高額なシステムではなく、無料のツールと、使い方を教わる場。
それだけです。
セミナーの詳細は、このブログとnoteで続報をお知らせします。
「うちの地域のデータでやってほしい」というご相談も歓迎です。お気軽にご連絡ください。


