
「非エンジニアだから」と言っている暇は、もうない。
また横文字か─「バイブコーディング」との出会い
「バイブコーディング」。
正直に言います。この言葉を最初に聞いたとき、私は思いました。
「……また新しい横文字か」と。
世の中、本当にカタカナ語が多い。
DX、リスキリング、アジャイル、オンボーディング。
会議で得意げに横文字を並べる人を見るたびに、「それ、日本語で言えませんか?」と心の中でツッコんできた人間です。
だから「バイブコーディング(Vibe Coding)」と聞いたときも、最初の反応は冷ややかなものでした。
でも、ひとつだけ引っかかった。中身を一行でまとめると、こうだったんです。
「コードを書かずに、AIに作らせる開発」。
……いや、待てよ。
それ、私みたいな非エンジニアが一番ほしかったやつじゃないか?
ちなみに、この言葉を世に広めたのはAI研究者のアンドレイ・カルパシー氏です。が、提唱者がどうとか、語源がどうとかは正直どうでもいい。
大事なのは「で、結局なにができるの?」です。そこだけ、現場の言葉で見ていきましょう。
Contents
バイブコーディングとは、結局なにができるのか
ものすごくざっくり言います。
これまで、アプリやWebサイトを作るには「プログラミング言語」という呪文を覚える必要がありました。<div>がどうとか、functionがどうとか。あの時点で9割の人が「無理」と離脱します。私もそうでした。
バイブコーディングは、ここをひっくり返します。
「作る」のではなく、「作りたいものを言葉で伝える」。
「こういうLPがほしい」
「こういう診断ツールを作って」
と、日本語で指示するだけ。あとはAIがコードを書いてくれる。
気に入らなければ
「ここの色を変えて」
「ボタンをもっと大きく」と、また日本語で言うだけ。
つまり、プログラミングが「書く作業」から「指示する作業」に変わったということです。
私が実際に使っている道具は、主にこの3つです。
- Claude(クロード) … 「何を作りたいか」を一緒に整理してくれる相棒。設計担当。
- Lovable(ラバブル) … 指示書を渡すとアプリを形にしてくれる。アプリ製造担当。
- Claude Design … 同じくLP(ランディングページ)を作ってくれる。Web制作担当。
道具の名前はどうでもいいです。覚えなくていい。
大事なのは、「コードが苦手な私が、これで実際にモノを作って、今この瞬間も動かしている」という事実のほうです。
ここからが本題。疑り深い私が、実際に手を動かした話をします。
疑いながら、実際にやってみた
まず、Claudeに「何を作りたいか」を相談した
いきなりアプリを作ろうとして失敗する人が多い。私も最初そうでした。
コツは、いきなり作らないことです。
まずClaudeに、こう話しかけます。
「お客さんが自分の会社の状態を簡単にチェックできる、診断ツールを作りたいんだけど」
するとClaudeが聞き返してくる。
「何を診断しますか?」
「質問はいくつくらい?」
「結果はどう見せたい?」と。
この“壁打ち”をしているうちに、頭の中のモヤッとしたアイデアが、ちゃんとした「指示書(要件定義)」に化けていくんです。
ここが一番大事なところ。家を建てるのに、いきなり木を切り始める人はいません。
先に設計図を描く。
バイブコーディングも同じで、設計図(指示書)をClaudeと一緒に固めてから、初めて建築に入ります。
その指示書を、LovableやClaude Designに渡す
設計図ができたら、それをそのままLovable(アプリ)やClaude Design(LP)に渡します。
すると、どうなるか。
数分で、それっぽいものが画面に出てきます。
初めてこれを見たとき、正直ゾッとしました。
「あれ、私いらなくない?」って一瞬思うくらい、形になるのが速い。
コードを一文字も書いていないのに、ちゃんと動くものが目の前にある。
あとは、しゃべって直していくだけ
もちろん、一発で完璧なものは出てきません。ここからが面白いところです。
直し方も、これまた日本語です。
「タイトルの文字、もっと大きくして」
「この申し込みボタン、緑じゃなくて赤にして」
さらに強力なのが、スクリーンショットを見せて直す方法。
気になる箇所を画像で撮って、「ここ、なんか窮屈だから余白とって」と渡す。
すると、ちゃんと意図を汲んで直してくる。
デザイナーさんに「ここ、こんな感じでお願い」と相談しているのと、ほとんど変わりません。
違うのは、相手が24時間文句ひとつ言わず、しかも秒で直してくれることです。
「実際に運用しています」という事実
「いや、それ作っただけでしょ?お遊びでしょ?」
そう思う方のために、実際に“今、世の中で動いているもの”を2つお見せします。
私が、コードを書かずに作って、運用しているものです。
① セミナー募集ページ(LP)──Claude Designで制作
👉 石川県DX実践セミナーの募集ページ
Gemini・NotebookLM・AppSheetを学ぶ「3連続コース」の告知ページです。
日程、内容、申し込みボタンまで、ぜんぶ自分で作りました。
以前なら、こういうページは外注して数万円〜数十万円、納品までに数週間。
それが、思い立ったその日に公開できるようになった。
② ビジネス生き残り予報ツール──Lovableで制作
👉 ビジネス生き残り予報ツール
13個の質問に答えると、約60秒で「あなたの会社、1年後も生き残れるか」を信号機(赤・黄・青)で診断するツールです。
ログイン不要、個人情報も保存しない。経営者が自社の状態をパッと自己チェックできる。
これ、ちゃんと「動くアプリ」です。私が手作業で計算しているわけじゃない。
プログラムとして自動で動いている。それを、コードが読めない私が作って、お客さんに使ってもらっている。
これがバイブコーディングの実物です。
スライドの中の話じゃない。今、URLを開けば、あなたも触れます。
なぜ小規模事業者・個人こそやるべきなのか
ここが、この記事で一番伝えたいところです。
正直に言います。バイブコーディングの恩恵が一番大きいのは、大企業ではありません。
私たちのような小規模事業者・個人事業主です。
理由は3つ。
1. 外注コストと時間が、ほぼゼロになる
「ちょっとしたツールがほしい」「告知ページが1枚いる」。
これまでは、その“ちょっと”のために、業者を探し、見積もりを取り、数週間待ち、数万円払っていました。小さな事業ほど、この負担は重い。それが消えます。
2. 「試作→改善」のループを、自分で回せる
ビジネスは、動かしてみないと正解がわかりません。
「このツール、ウケるかな?」は、出してみないとわからない。
外注だと、修正のたびにお金と時間がかかるから、なかなか試せない。
でも自分で作れるなら、朝思いついて、昼に作って、夕方に直せる。
この回転の速さが、そのまま事業のスピードになります。
3. 小回りが利く者ほど、武器になる
大企業は、稟議だ、情報システム部の承認だ、と動きが遅い。でも私たちは違う。
思い立ったら即やれる。この身軽さは、これまで「規模が小さい弱み」とされてきました。
バイブコーディングは、それを最大の強みに反転させます。
ここ石川・金沢の現場を回っていても、痛感します。人手は足りない、時間もない、予算も限られている。だからこそ、「自分のアイデアを自分の手で即・形にできる力」は、補助金を待つよりずっと確実な“武器”になる。
外注先や補助金に依存するのではなく、自分たちの手の内に「作る力」を持つ。これが、これからの小さな会社の生存戦略です。
ただし、丸投げは危険─"理解を伴うバイブコーディング"のすすめ
ここまで散々おすすめしておいて、最後に冷や水を一杯。
「AIに丸投げして、中身をまったく理解しないまま動かす」のは危険です。
なぜか。作ったものは、作って終わりじゃないからです。後で直す(保守)。お客さんの情報を扱う(セキュリティ)。中身がブラックボックスのままだと、いざトラブったときに手も足も出ません。
「動いてるからヨシ!」で放置したものが、ある日ぱったり止まる、なんてことも起きます。
だから私の使い方は、「AIに作らせて、出てきたものを自分で確認し、おかしければ直す」というハイブリッド型です。
全部を理解する必要はない。エンジニアになる必要もない。
でも、「これは何をしているものなのか」を、ざっくり把握しておく。
AIに運転は任せても、ハンドルは自分で握っておく。この姿勢だけは、絶対に手放してはいけません。
「全部わからないと不安で…」という方。大丈夫です。
触りながら、わかるようになります。 私がそうでした。
まとめ:まず一つ、自分の手で作ってみよう
「非エンジニアだから」
「パソコンが苦手だから」
「もう若くないから」。
その言葉、もう一回、自分に問い直してみてください。
本当に、それは“できない理由”でしょうか。それとも、“やらない言い訳”でしょうか。
私が大事にしている言葉があります。
「最終学歴より、最終学習歴」。
どこの学校を出たかではなく、「今、何を学んでいるか」が人生を決める時代です。
バイブコーディングは、まさに今、誰もが最初の一歩を踏み出せる場所にあります。
コードは要りません。必要なのは、「作ってみたい」という気持ちと、横文字にビビらない開き直りだけ。
非エンジニアだから、なんて言っている暇はありません。
誰でも、今すぐ、触ってみるべきです。
まずは小さな一つでいい。
あなたのビジネスに「こんなのあったらな」を、自分の手で形にしてみてください。
動き出した瞬間、世界の見え方が変わります。

