
「なぜ?」と思えることが、もう武器になる時代だ。
皆さんこんにちは。石川県金沢市で、生成AIを使った経営支援をしている石原です。
今日は、最近ニュースで話題になっている消費税減税の話です。
ただし、政治の話をしたいわけではありません。
私が引っかかったのは、こっちです。
「レジの改修で、消費税0%にするのは想定されていない」
これ、聞いたときに「え?」と思いませんでしたか。
消費税が上がったり下がったりするのは、歴史的に何度もあったこと。
3%から5%、5%から8%、8%から10%。そのたびにレジは改修されてきたはずです。
なのに「0%は想定外」って、どういうことなのか。
正直、私はエンジニアでもプログラマーでもありません。実際の現場の事情は分かりません。
でも、この違和感を持つこと自体が大事だと思ったんです。
そして今は、その違和感を深掘りできる相棒がいます。
生成AIです。
今回は、私がこの「なぜ?」を生成AIにぶつけて壁打ちした過程を、そのままお伝えします。
Contents
壁打ち① ― 消費税0%にできないって、技術的に本当なのか?
まず最初の素朴な疑問をぶつけました。
「消費税の税率を0%にするのが、プログラム的にそんなに難しいことなのか?」
AIの回答を要約すると、こうでした。
技術的には、税率を0%にすること自体は難しくない。 税率はただの数字です。10を0に変えるだけの話。
ただし、問題はそこじゃない。
多くのレジシステムでは「消費税は必ずかかるもの」という前提で設計されているケースがあるとのこと。つまり、0%という値が入ったときに、計算ロジックや帳票の表示、インボイス対応の仕組みが正しく動くかどうか、そこが「想定されていない」という話なんです。
これは、税率の数字を変える話ではなく、システム全体の設計思想の話だと。
なるほど。そういうことか。
壁打ち② ― なぜエンジニアはそんな基本的なことを想定しなかったのか?
次にぶつけたのは、もう少し踏み込んだ疑問です。
「税率が変わる可能性なんて、誰でも分かるはず。なぜ、エンジニアはそこを想定しなかったのか?」
AIとやりとりする中で見えてきたのは、エンジニア個人の問題ではないということでした。
ポイントは「誰が仕様を決めるのか」という話です。
日本のシステム開発では、発注者が「消費税10%で処理してください」と指示を出す。
受注側は、その指示通りに作る。
「将来0%になったらどうしますか?」と聞く余地がない構造になっていることが多い。
なぜか。
聞かれてもいないことを提案すると、余計な工数が増える。見積もりが上がる。失注するかもしれない。
つまり、「想定しなかった」のではなく、「想定するインセンティブがなかった」可能性がある。
これは、エンジニアの能力の問題ではなく、発注する側と受注する側の関係性の問題です。
壁打ち③ ― 海外のエンジニアも同じことが起きるのか?
「じゃあ、海外ではどうなんだ? アメリカやヨーロッパのレジでも同じことが起きるのか?」
これも聞いてみました。
AIによると、海外のPOSシステムでは税率は「設定値」として外出しにされているのが一般的だそうです。アメリカは州ごとに税率が違うし、ヨーロッパも国や品目ごとに税率が異なる。
最初から「税率は変わるもの」として設計するのが当たり前の世界。
ただし、これも海外のエンジニアが特別に優秀だからという話ではない。
そもそも「税率は変わるもの」という前提で発注されるから、そう設計されるだけ。環境が違うんです。
とはいえ、日本でも消費税は何度も変わってきました。
「変わるもの」という前提で設計されていてもおかしくない。
にもかかわらず、なぜ日本では0%が想定外になるのか。
ここで、根っこの問題が見えてきました。
壁打ち④ ― 多重下請けと人月商売が、この「想定外」を生んでいないか?
最後にぶつけた仮説が、これです。
「日本のIT業界の多重下請け構造や、人月商売のビジネスモデルが、こういう"想定外"を生む根本原因になっているんじゃないか?」
AIとの壁打ちで整理できた構造問題は、大きく3つありました。
多重下請けによる「伝言ゲーム」
発注者 → 元請け → 二次請け → 三次請け…と、何層にもなる下請け構造。
下に行くほど「なぜこの仕様なのか」という背景情報が抜け落ちる。
末端のエンジニアは「消費税10%で計算する」という指示だけを受け取り、その通りに作る。
「将来0%になったら?」という視点が入る余地がない。
人月商売の「想定外を想定しないインセンティブ」
日本のIT業界は、エンジニアの稼働時間で値段が決まる「人月商売」が主流です。
将来の変更に備えた柔軟な設計をしても、その分の工数は「余計なコスト」として見積もりから削られることがある。
「想定外を想定する」ことに、ビジネス上のメリットがない構造です。
発注側の「丸投げ」文化
「ITのことはよく分からないから、全部お任せで」。この丸投げが、実は一番怖い。
発注側が仕様の背景や将来のリスクを伝えないまま外注すると、受注側は「言われたこと」だけを作る。
結果として、税率変更のような「当然起こりうる変化」への備えが抜け落ちる。
違和感を持てることが、もう武器になっている
ここまで読んでいただいて、お気づきかもしれません。
私は、プログラミングの専門家ではありません。レジシステムの内部構造を知っているわけでもない。
でも、「それ、おかしくない?」という違和感を持つことはできました。
そしてその違和感を、生成AIという相棒にぶつけることで、ここまで深掘りすることができた。
これが、生成AI時代の一番大きな変化だと思うんです。
以前なら、こういう違和感を持っても「まあ、専門家じゃないし」で終わっていました。
調べようにも、検索してもなかなか本質的な記事にはたどり着けない。
でも今は違います。
「なんか変だな」と思ったら、AIに聞けばいい。
「本当にそうなの?」と疑問をぶつければいい。
「海外ではどうなの?」と比較を頼めばいい。
「根本原因は何だと思う?」と仮説をぶつければいい。
答えが正しいかどうかは、また別の話です。
でも、問いを深めるプロセスそのものが、あなたの判断力を鍛える。
もう一つの壁打ち ― このニュースが海外に出たとき、何が起きるか
実は、もう一つだけAIにぶつけた問いがあります。
「このニュースが英語で海外に発信されたら、日本はどう見られるのか?」
考えてみてください。
日本は「ものづくり大国」「技術立国」として、世界から一定のリスペクトを受けてきた国です。
トヨタの生産方式、新幹線の正確さ、コンビニの効率性。
「日本のシステムは精密で信頼できる」というイメージは、国の信用そのものです。
そこに、こんなニュースが流れる。
「日本のレジは、消費税0%に対応できない」
海外のエンジニアやIT関係者が見たら、どう思うでしょうか。
アメリカでは州ごとに税率が違い、免税品目も複雑に変わります。
ヨーロッパでは国をまたぐたびにVAT(付加価値税)の税率が変わる。
税率変更への対応は、世界のIT業界では「基本中の基本」です。
その基本ができていないと報じられることは、単に「レジが古い」という話では済みません。
「日本のソフトウェア産業は、そのレベルなのか」 という評価につながりかねない。
これは、海外からの投資判断にも、日本企業とのシステム共同開発の信頼性にも、IT人材の国際的な評価にも影響し得る話です。
たかがレジの話だと思うかもしれません。
でも、世界はそういう小さな「ほころび」から、その国の技術力を測るんです。
そして根本原因が、エンジニアの技術力ではなく、多重下請けや人月商売という業界の構造にあるのだとしたら。
これは一企業の問題ではなく、日本という国のソフトウェア競争力の問題です。
だからこそ、経営者の皆さんにも「自分には関係ない」で終わらせてほしくない。
あなたの会社の発注の仕方、システムの任せ方が、巡り巡って日本の信用を作っているのだから。
経営者の皆さんへ ― あなたの会社のシステムは大丈夫ですか?
最後に、これだけはお伝えしたい。
今回の消費税0%問題は、レジだけの話ではありません。
あなたの会社のシステムにも、同じ構造が隠れていませんか?
- そのシステム、何次下請けが作ったか把握していますか?
- 仕様書を見たことはありますか?
- 「想定外」が起きたとき、誰に聞けばいいか分かりますか?
私は職業訓練のDX講座を5期、600時間以上にわたって教えてきました。
セミナー登壇も80回を超えています。その中で痛感するのは、ITの知識がないことが問題なのではないということです。
「なぜ?」「本当にそうなの?」と問えないことが、一番のリスクなんです。
そして今、その「なぜ?」を深掘りする最強の相棒が、誰でも無料で使える時代になりました。
違和感を持ったら、生成AIにぶつけてみてください。
専門家じゃなくていい。技術が分からなくていい。
「それ、おかしくない?」と思えるあなたの感覚が、一番の武器です。

