AI臭より我慢臭を排除せよ。「我慢して働く」は美談じゃない

最近、生成AIで作られた文章や画像に、極端な嫌悪感を見せる方が増えてきました。

「AI臭がする」
「機械が書いた感じが鼻につく」
「人間が書いたものじゃないと読む気がしない」

その気持ちはわかります。確かに、AIが書いた文章には独特のクセがあります。
文のリズムが整いすぎていたり、「〜と言えるでしょう」という曖昧な締めが多かったり、両論併記でぼかされていたり。

一読して「ああ、これAIだな」とわかる文章は、確かに存在します。

でも、私自身はそこまで気にしていません。
生成AIは、絵筆や絵の具、鉛筆と同じ程度の道具だと考えているからです。

道具にクセがあるなら、使い手が削る。
書き手の体温を乗せて、最後は人間が仕上げる。
それだけの話です。

それよりも、私が圧倒的に深刻だと感じている「臭い」が、別にあります。

AI臭より、よっぽど深刻な「我慢臭」

それが、嫌な仕事を我慢して働き続ける人から漂う、「我慢臭」です。

「生活のために割り切ってやっている」
「家族を養うためだから」
「今さら転職もできないし」

そう言いながら、毎朝重い足取りで職場に向かう人。
目が死んでいるのに、口では「大丈夫」と言う人。
「いつかは辞めようと思っているんですよ」と、5年前から同じことを言っている人。

私はこれまで、対面セミナーや研修で75回以上、石川県・富山県を中心に経営者や現場の方々とお会いしてきました。職業訓練のDX講座も5期目がそろそろ終わります。

その中で、強く感じていることがあります。
世の中をあきらめている人が、想像していたより、ずっと多いということです。

「我慢」は、いちばん裏切ってはいけない人を裏切っている

我慢して働くことを、美談として語る人がいます。

「みんな我慢して働いているんだから」
「社会人なんてそんなもの」
「やりがいなんて贅沢だ」

私はこの考え方に、はっきり反対します。

なぜなら、嫌な仕事を我慢し続けている人は、いちばん裏切ってはいけない人を、毎日裏切り続けているからです。

それは、上司でも、家族でも、お客様でもありません。

あなた自身です。

「これが嫌だ」と感じている自分の感覚を無視し続けると、人はだんだん、自分の声が聞こえなくなります。

何が好きで、何がしたくて、何に怒りを感じるのか。
それが、わからなくなっていきます。

そのうち、新しいことに挑戦する気力も、変わるためのエネルギーも、湧かなくなります。
これが、世の中をあきらめた状態です。

我慢臭は、組織を静かに壊していく

そして、これは個人の問題だけでは終わりません。

我慢して働く人が職場に増えると、組織は静かに壊れていきます。

不満は態度に滲み出ます。

あくびの数、ため息の頻度、目を合わせない瞬間。
言葉にしなくても、空気は確実に重くなります。

やる気のない人が一人いると、周りの「ちゃんとやろう」としていた人まで、徐々にペースを落とします。
ミスが増え、指示待ちが増え、誰も主体的に動かなくなります。

そして気づいた頃には、本当に辞めてほしくなかったエース社員から、静かに去っていきます。
我慢臭が漂う職場に、優秀な人ほど長くは残りません。

経営者の方によくお伝えしているのは、「人手不足の本当の原因は、採用市場ではなく、自社の空気である」ことが多いという事実です。

石川の経営者の方へ

地方の中小企業を回っていると、「人がいない、来ない、続かない」というご相談を、本当によく聞きます。

採用広告を出す前に、一度立ち止まって、社内を見渡してみてほしいのです。

朝、笑顔で出社している人は何人いますか。
「この仕事、面白いんですよ」と話せる中堅社員はいますか。
社長自身は、毎日どんな顔で会社に向かっていますか。

もし、社長自身が我慢して経営していたら。
その我慢臭は、必ず社員に伝染します。
そして、お客様にも伝わります。

DXも、生成AI活用も、本来は「我慢して続けてきた非効率な仕事をやめるため」の手段です。
ツールを入れることが目的ではありません。
人が、人にしかできないことに時間を使えるようにするためです。

おわりに:あきらめないでほしい

世の中をあきらめかけている方に、お伝えしたいことがあります。

我慢を美徳にしなくて、いいのです。
「これは違う」と感じる自分の感覚を、信じてください。

仕事を変えることだけが答えではありません。
今の仕事の中で、嫌な部分を一つずつ削っていく方法もあります。
AIや仕組みに任せられるところは、任せていい。

大事なのは、あなた自身を、あなたが裏切らないことです。

AI臭を気にする前に、まず我慢臭を排除しましょう。
それが、地方から「自立した個と組織」を増やしていく、最初の一歩だと信じています。

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