
「AIで採用を効率化」? 順番が逆です。
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やたらと複雑にしたがる、AI採用の話
最近「生成AI×採用」の話を聞く機会が増えました。
スカウトメールの自動生成、応募書類のAI分析、パーソナライズドコミュニケーション——。
横文字が並ぶたびに、正直こう思います。
なんでそんなにややこしく考えるんですか?
私は直接採用する立場ではありません。
ただ、職業訓練でDX講義の講師を務めて5期目、登壇時間は500時間を超えました。
目の前にいるのは「これから仕事を探す人たち」です。
セミナー登壇も70回以上、石川県内の経営者や人事担当者とも数え切れないほど話をしています。
つまり、「採用する側」と「採用される側」の両方を毎日見ている立場です。
その目線から言わせてください。
AI採用戦略の最初の一手は、ツール導入ではありません。
求人票に「たった一行」書けますか?
やるべきことはシンプルです。
求人票や自社サイトの採用ページに、こう書いてください。
弊社では生成AIの活用を前向きに推進しています。
これだけです。ここからすべてが始まります。
「え、それだけ?」と思った方。逆に聞きます。
今、この一行を書ける覚悟がありますか?
書けない会社が9割という現実
この一行が書けないのは、技術の問題ではありません。覚悟の問題です。
「生成AIを推進しています」と公に宣言するということは——
- 経営者自身がAIを理解していなければ恥をかく
- 社内で実際に使っていなければ嘘になる
- 「うちはまだ早い」という言い訳が通用しなくなる
つまり、この一行を書くためには「社内が先に変わっていないといけない」のです。
石川県の中小企業で、経営者を含めた生成AI研修をきちんとやっている会社がどれだけあるか。
肌感覚では、1割もないと思います。
職業訓練の受講生からも聞きます。
「面接でAIの話をしたら、面接官が固まった」と。これが地方の現実です。
順番を間違えるから、全部こける
世の中で語られている「AI採用戦略」を見ると、だいたいこういう順番です。
- AIツールを導入する
- スカウトメールを自動化する
- 書類選考をAIに任せる
- データ分析で人材モデルを作る
順番が逆です。
正しい順番はこうです。
- 経営者がAIを理解する(研修・実践)
- 社内で実際にAIを使い始める
- 求人票・採用ページに「AI推進」と書く
- その後で、採用業務にもAIを活かす
1〜3ができていない会社が、いきなり4をやろうとする。だから定着しないし、現場が混乱するのです。
「AI推進」の一行が、最強の採用フィルターになる
この一行には、実はとんでもない効果があります。
求職者の「質」が変わるのです。
2026年現在、就活生のAI利用率は56.5%を超えています。
つまり、AIに前向きな人材はすでに多数派です。
ところが企業側の導入率はまだ37%台。
ここにギャップがある。
求人票に「生成AI推進」と書いてある会社と、書いていない会社。
AIに前向きな人材がどちらに応募するか。考えるまでもありません。
逆に言えば、「AIなんてうちには関係ない」と思っている会社には、「AIなんて関係ない」と思っている人しか来ません。
採用は鏡です。会社の姿勢が、そのまま応募者の質に反映されます。
職業訓練の教壇から見える景色
職業訓練の受講生と毎日接していて感じることがあります。
彼らは本気です。人生を変えようとしている。
生成AIの使い方を学び、新しいスキルを身につけ、次の職場で活躍したいと思っている。
そういう人たちが求人票を見たとき、「この会社はAIに前向きだ」と分かるだけで、応募の優先順位が変わります。
500時間、教壇に立ってきた実感です。
「学ぶ意欲のある人」は、「変わる意欲のある会社」を選びます。
まず社内から。覚悟を決めてから外に出す
スカウトメールの自動化も、書類選考のAI分析も、やればいい。
返信率が2倍になった事例も、選考時間が70%短縮した事例も実際にあります。
でもそれは「覚悟を決めた後」の話です。
経営層を含めた研修をやる。実際に現場で使ってみる。
失敗もする。それでも「うちはAIでいく」と腹をくくる。
その覚悟ができたら、求人票に一行書く。
それだけで採用は変わり始めます。
シンプルに考えましょう。
まとめ:生成AI採用戦略、正しい順番
| 順番 | やること | 目的 |
|---|---|---|
| 1 | 経営者含め全社でAI研修・実践 | 社内の覚悟を固める |
| 2 | 求人票・採用ページに「AI推進」と明記 | 採用フィルターを変える |
| 3 | 採用業務にAIツールを導入 | 効率化・精度向上 |
1を飛ばして3をやるから、うまくいかない。
石川県の中小企業こそ、この順番を間違えないでください。
人手不足の地方だからこそ、「AIに前向きな会社です」という一行が、他社との決定的な差になります。
