
「あなた個人に会いたい」と言われた日、肩書きは要らなくなった。
会社の看板を下ろしたら、誰が残るか
「石原さん個人に来てほしいんです」
先日、ある企業からセミナーのご依頼をいただいたとき、担当者の方がそう言ってくださいました。
私は個人事業主です。○○株式会社の部長でもなければ、有名コンサルファームの出身でもない。
名刺に書いてあるのは、自分の名前だけ。
正直に言います。独立して最初の頃は、この「看板のなさ」が怖かった。
会社員時代は、会社名を出せば相手の態度が変わった。名刺交換すれば、それだけで信用が生まれた。
でもその看板を下ろした瞬間、自分には何が残るのか——。
今、独立を考えているあなたにも、同じ不安があるのではないでしょうか。
「2代目」に興味が持てない理由
私は石川県金沢市で、さまざまな創業者の方とお会いしてきました。
一緒に働かせていただいたこともあります。
創業者には独特の熱がある。ゼロから何かを立ち上げた人の言葉には、教科書にはない「泥臭い一次情報」が詰まっています。だから偉人の名言を見るのも好きなんですが、興味が湧くのは決まって「創業者」の言葉なんです。
失礼を承知で言うと、テレビ番組での2代目、3代目の豪邸や調度品の話にはあまり心が動かない。
なぜか。
その人自身が「ゼロから何かを生み出した経験」を語っていないから。
看板を引き継いだ人と、看板を自分で作った人。言葉の重みがまるで違うんです。
「創業」は壮大じゃなくていい
ここで、独立を考えている方にひとつ伝えたいことがあります。
「個人事業主が"創業"なんて大げさだ」と思っていませんか?
わかります。私もそう思っていました。トヨタを作った豊田さんや、松下電器の松下さんのような「創業者」と、自分を同じ土俵に置くのはおこがましい、と。
でも、考え方を変えてみてください。
「この分野の第一人者になる」——これも立派な創業です。
会社を興すことだけが創業じゃない。誰もやっていない隙間を見つけて、そこに旗を立てる。
それだけで、あなたは「創業者」になれる。
私が旗を立てた「ニッチの隙間」
私の場合、旗を立てた場所はここです。
「石川県 × DX講師 × 少人数ワークショップ」
東京の有名講師を呼んで100人規模のセミナーをやる会社はたくさんある。
オンラインで全国どこからでも受けられるAI講座も山ほどある。
でも、石川県の現場に足を運んで、5人〜10人の少人数で、手を動かしながら一緒にAIを使い倒すワークショップをやる人間は、ほとんどいなかった。
これが私の「ニッチの隙間」です。
2年半、コツコツと発信と実践を続けてきました。企業での登壇は70回を超えました。
行政や公的機関からもお声がけいただけるようになりました。
最初から大きな看板があったわけじゃない。でも、誰もいない場所に旗を立てて、そこに立ち続けた。
それだけです。
「ニッチの隙間」の見つけ方
では、あなたのニッチはどこにあるのか。
難しく考える必要はありません。3つの円が重なるところを探すだけです。
- あなたが2年以上やってきたこと(経験)
- あなたの地元や業界で、まだ誰もやっていないこと(隙間)
- お金を払ってでも解決したい人がいること(需要)
この3つが重なる場所。そこがあなたの「創業の地」です。
石川県で言えば、まだまだ隙間だらけです。DXひとつとっても、「製造業×AI品質管理」「旅館業×多言語対応」「農業×データ活用」——やれる人がいないだけで、需要はある。
大事なのは、東京と同じ土俵で戦わないこと。地方には地方の隙間がある。
そこに旗を立てれば、あなたは自動的に「第一人者」になれる。
看板は「もらう」ものじゃない、「作る」ものだ
会社員時代の看板は、会社からの借り物です。退職届を出した瞬間に返却しなければならない。
でも、自分で立てた旗は誰にも奪えない。
2年半前の私には、何の看板もありませんでした。
でも今、「石原さんに来てほしい」と言ってくださる方がいる。
それは、会社の看板ではなく、自分で作った看板に人が集まってくれているということ。
独立を考えているあなたへ。
完璧な準備なんて要りません。大きな資本も要りません。
必要なのは、ニッチの隙間を見つけて、そこに旗を立てる勇気だけです。
あなたの名前だけで、会いに来てくれる人を作りましょう。
それが、「看板のない世界」で生きるということです。
