
「ダメとも言わない。いいとも言わない。その沈黙が、エースの退職届になる。」
その社員、もう聞くのを諦めていませんか?
先日、ある金沢市内の企業研修の後、一人の社員さんがこっそり近づいてきました。
「石原さん、ちょっと聞いてもいいですか……うちの会社って、ChatGPT使っていいんですかね?」
私は聞き返しました。
「上司には聞いてみました?」
「……聞きました。でも、『まあ、自己責任で』って言われて。それって、いいってことなのか、ダメってことなのか、正直わかんないんですよね」
この会話、実は何十回と聞いています。
企業登壇70回以上、石川・富山の現場を回ってきて、もう耳にタコができるほど同じ声を聞いてきました。
そして、こういう人に限って優秀なんです。自分の仕事をもっと良くしたい。会社に貢献したい。
だから外部セミナーにまで足を運んでいる。
でも、会社は何も答えてくれない。
この「沈黙」が何を引き起こすか。今日はその話をさせてください。
Contents
金沢でも、生成AIセミナーに来る人は確実に増えている
石川県金沢市のような地方都市でも、生成AI活用セミナーは確実に増えています。
私自身が登壇する研修でも、参加者の熱量は年々上がっています。
参加者に動機を聞くと、こう返ってきます。
「自分の仕事に生かしたいんです」
「働き方を変えたいんです」
前向きな人たちです。休日や業務後の時間を使って、わざわざ学びに来ている。
でも、ここが大事なポイントです。
こういう人たちは、会社に「使わせてください!」と直談判してくる人ばかりではありません。
むしろ、黙っている人がほとんどです。
日本の中小企業で、生成AIの使用について明確なガイドラインを持っている企業はわずか約20%。
残りの80%は「ルール未整備」の状態です。
つまり、従業員の大半が「使っていいのか悪いのかわからない」というもやもやを抱えたまま働いています。
この「もやもや層」、推定で60〜80%にのぼります。
聞き耳を立てている社員たち
もやもやしている社員は、黙っているだけで何もしていないわけではありません。
彼らは聞き耳を立てています。
何を聞いているか。
求人票を見ています。
「うちの会社、まだ『エクセル・ワード必須』って書いてるんだ……」
面接の話を聞いています。
「この前の中途採用の人、面接で『御社では生成AI使えますか?』って聞いたらしいよ」
「……で、うちの部長、なんて答えたの?」
「『まあ、今のところは……』って濁したらしい」
社内の噂を聞いています。
「Aさん、勇気出して上に『ChatGPT使っていいですか』って聞いたんだって」
「で、どうだった?」
「『検討する』って言われて、3ヶ月経っても何も返事ないって」
これ、全部実際に私が研修先で聞いた話です。作り話ではありません。
「沈黙」が引き起こす静かな退職
ここで、経営者の方に知っておいてほしいことがあります。
優秀な社員ほど、文句を言いません。要望書も出しません。直談判もしません。
ただ、転職サイトを開きます。
「この会社、変わる気がないな」
そう判断した瞬間、エース社員の心はもう離れています。
退職届が届いてから慌てても、手遅れです。
しかも、地方の中小企業にとって、エース社員の離職は致命的です。
東京の大企業のように「また採用すればいい」とはいきません。
石川県の有効求人倍率を見てください。人が来ないんです。
生成AIの活用方針を策定している中小企業は、わずか約34%。
大企業の56%と比べても大きな差があります。
この差が、採用力の差に直結する時代がもう来ています。
「使っていいよ」のたった一言が、組織を変える
私がお伝えしたいのは、難しいことではありません。
まず、「使っていいよ」と言ってあげてください。
もちろん、情報セキュリティのルールは必要です。
機密情報の扱い、出力の確認フロー、そういった最低限のガイドラインは整えるべきです。
でも、それは「禁止する理由」にはなりません。
ルールを作って、「この範囲なら使っていい」と明確にする。
たったそれだけで、もやもやしていた社員の目の色が変わります。
ある金沢市内の製造業の会社で、社長が朝礼でこう言いました。
「今日から、業務でChatGPTを使っていい。ただし、お客さんの名前と売上の数字は絶対に入れるな。それだけ守れば、あとは自由にやってくれ」
たった30秒のスピーチです。
その日の昼休み、何が起きたか。
若手社員が集まって、自発的に「こう使ったら便利だった」と情報交換を始めたそうです。
誰に言われたわけでもなく。
この社長は、生成AIに詳しいわけではありません。
でも、社員が何を待っているかを理解していました。
【結論】あなたの「沈黙」は、何を伝えていますか
経営者が何も言わないこと。それは「中立」ではありません。
社員にとっては、「変わる気がない」というメッセージです。
石川県・金沢市の中小企業が、これから先も人を採り、人を育て、人に残ってもらうために。
生成AIのルールを整備することは、もはやIT施策ではなく、人事戦略であり、経営判断です。
「ツールの使い方を教える研修」ではなく、「組織の未来を一緒に設計する伴走支援」が必要です。
もやもやしている社員を放置しないでください。彼らはあなたの会社の未来そのものです。
一緒に、その「沈黙」を破りましょう。
