
「話題のAI」と「仕事に使えるAI」は、まったくの別物です。
正直に言います。
昨年あたりから、セミナー後の質問タイムで「動画もAIで作れるんですか?」という声をよく聞くようになっていました。
YouTubeやSNSで「Soraがすごい」「AIで映画が作れる時代」という情報が飛び交っていたので、気になるのは当然です。
ただ、そのたびに私はこう返していました。
「で、それ、御社の何に使いますか?」
すると、たいてい沈黙が返ってきます。
使い道がないわけじゃない。
でも、従業員50名以下の現場で「AI動画生成」が今すぐ必要かと聞かれたら、私の答えは「まだ早い」でした。
Contents
OpenAIがSoraから撤退した事実
2026年3月、OpenAIが動画生成AI「Sora」の個人向けアプリを終了し、企業向けAPI「Sora2」も提供終了すると発表しました。
事実上の動画AI事業からの撤退です。
あのOpenAIですら、「作ったけど、ビジネスとして成り立たなかった」と判断したわけです。
私はこのニュースを見て、率直に思いました。
「それでいいんじゃないか」と。
メタバースと同じ匂いがしていた
覚えていますか。数年前の「メタバース騒動」を。
「これからはメタバースだ」「バーチャル空間でビジネスする時代だ」と、あれだけ騒がれていたのに、今どれだけの中小企業がメタバースを使っていますか?
ほぼゼロです。
動画生成AIにも、同じ匂いを感じていました。
技術としてはすごい。見ていて楽しい。
でも、石川県の中小企業の現場で「今」必要かと言われると、答えはノーでした。
本当に仕事で使えるAIは、もっと地味
私が職業訓練DX講義を5期にわたって担当してきた中で、受講生が実際に「これは助かる」と言ったのは、こういうものです。
- 文章作成の下書き(報告書、メール、提案書)
- 画像生成(チラシの挿絵、記事のキャッチ画像)
- 議事録の要約
- Excelの関数を聞く
全部、地味です。映えません。
でも、毎日の仕事が30分、1時間と短くなる。
これが「仕事に使えるAI」の正体です。派手な動画生成ではありません。
画像生成も「凝りすぎ注意」
画像生成は確かに便利です。チラシの挿絵や、ブログのキャッチ画像には十分使えます。
ただし、ここにも落とし穴があります。
たとえば、AIが生成した画像の文字がちょっとだけ間違っていたとします。
「よし、AIで直そう」と指示を出す。すると別の場所がおかしくなる。
直す。また別のところが変わる。泥沼です。
それなら最初から文字を少なめにして、あとからCanvaで直したほうが圧倒的に早い。
AIは万能じゃない。「AIでやるべきこと」と「人間がやったほうが早いこと」の線引きが、実は一番大事なスキルです。
「雨後の竹の子」に振り回されない
AIに関するツールは、まさに雨後の竹の子のようにどんどん出てきます。
毎週のように「新しいAIサービスが登場」というニュースが流れ、SNSでは「これを使わないと時代に取り残される」と煽る投稿が溢れています。
でも、冷静に考えてください。
そのツール、半年後もまだありますか?
OpenAIのSoraですら撤退したのです。大手が莫大な資金を投じても続かないものがある。
ましてや、名前も知らない小さなサービスが来月も残っている保証はどこにもありません。
私が企業登壇70回以上の現場で伝え続けていることは、たった一つ。
「話題になっているか」ではなく「自分の仕事に使えるか」で選べ。
これだけです。
まとめ:AIは道具。振り回されたら負け
OpenAIのSora撤退は、むしろ健全なニュースだと思っています。
「すごい技術」と「使える技術」は違う。
それを天下のOpenAI自身が証明してくれたのですから。
生成AIに興味を持つのは素晴らしいことです。
でも、その興味の向け先を間違えないでください。
動画を作ることではなく、目の前の業務を少しだけ楽にすること。
そこから始めれば、AIは確実にあなたの味方になります。
一人で判断がつかないなら、一緒に考えましょう。
「何から手をつければいいか」を整理するところから、伴走します。
