
言いにくいことは、AIに言わせればいい。
「うちの社員、AI研修やったのに誰も使ってくれないんです」
企業向けセミナーに登壇して70回以上。
この相談を、もう何十回聞いたかわかりません。
経営者の方も、人事の方も、みなさん同じ顔をされます。
「せっかく研修費を出したのに」
「便利だって説明したのに」。
わたし自身、職業訓練DX講座480時間の現場で、同じ壁にぶつかり続けてきました。
でも、あるとき気づいたんです。
社員がAIを使わない理由は、「難しいから」でも「興味がないから」でもありませんでした。
「自分の仕事が否定される気がするから」です。
そして、その壁を壊すカギもまた、AI自身の中にありました。
Contents
「便利ですよ」では人は動かない
生成AIのセミナーというと、たいてい「議事録が3分で書けます」「メールの下書きが一瞬です」という話になります。
間違ってはいません。でも、それだけでは現場は動きません。
なぜか。
「便利」は頭で理解できても、心が動かないからです。
石川県の中小企業の現場で、ベテラン社員に「AIで業務効率化しましょう」と言ったらどうなるか。
想像してみてください。
「今までのやり方が間違ってたってこと?」
そう感じる方が大半です。特に長年やってきた方ほど、そうなります。
セミナーで必ずやる「あのワーク」
わたしは生成AIの入門セミナーで、必ず受講生に実際に手を動かしてもらうワークを入れています。
まず、こんなプロンプトを打ってもらいます。
あなたは石川県金沢市の地域活性化のリーダーです。
次のテーマで市民を巻き込んだ新しい地域移住UIターンの会議が行われます。
アジェンダを作成してください。
テーマ:石川県金沢市の地域活性化、人口減少化対策、県外からの移住の推進、外部からのサポートに頼らない現地の特産品・人的資産を最大限活用する。
日時:8月15日 13:00〜2時間
ここまでは普通です。AIがきれいなアジェンダを出してくれます。
問題は、次の一手です。
典型的な反対意見とその心理を10個挙げてください。
これを追加で打ってもらうと、会場の空気が変わります。
「わたしが言ってるんじゃありませんよ」
AIが出してくる反対意見は、まさに現場で聞こえてくる「やりたくない理由」そのものです。
「前にもやったけどうまくいかなかった」
「よそ者に何がわかるんだ」
「忙しいのに余計な仕事を増やすな」
こういう本音は、会議の場では誰も口にしません。
上司の前では言えません。コンサルタントにも言いにくい。
でも、AIは忖度しません。
わたしはここで受講生にこう伝えます。
「これ、わたしが言っているんじゃありませんよ。生成AIが言っているんですよ。」
すると、会場に笑いが起きます。
そして、全員がスクリーンを食い入るように見ています。
「そうそう、うちの現場もこれだよ」と。
これが生成AIの「裏技」です
生成AIの使い方といえば、上手な指示文を書いて文章を作る、アイデアを出す。当たり前の話です。
でも、もう一歩踏み込んでみてほしいんです。
「言いにくいことを、AIに代弁させる。」
これは単なるテクニックではありません。組織の空気を変える武器です。
経営者が「DXやるぞ」と号令をかけても、現場には反対意見がある。
でもその反対意見は表に出てこない。出てこないから対処もできない。
結果、「研修やったのに誰も使わない」という状態になる。
AIに反対意見を出させることで、「言えなかったこと」が安全にテーブルの上に載るんです。
誰かが悪者にならなくていい。AIが言ったんだから。
皆さんの目の前に「誰が」いますか?
わたしがセミナーで生成AIの使い方を教えるとき、常に意識していることがあります。
目の前にいるのは「パソコンに詳しい人」ではない。
変化を怖いと思っている人。今までのやり方を否定されたくない人。
でも、本当は会社を良くしたいと思っている人。
そういう方々に「AIは便利ですよ」と100回言っても届きません。
でも、「AIに言いにくいことを言わせてみてください」と伝えた瞬間、目の色が変わります。
「これ、うちの会議でも使えるかも」
その一言が出たら、もう研修は成功です。
ツールの使い方なんて、あとからいくらでも覚えられますから。
結論
生成AIは「便利な道具」ではありません。
「組織の中で誰も言えなかったことを、安全に言語化してくれる存在」です。
AIを導入したのに現場が動かない。そんな悩みを抱えている経営者の方、人事の方。
ツールの機能を教える研修ではなく、現場の空気を変える研修を、一緒にやりませんか。
忖度しないAIの力を、組織の変革に使う。
その最初の一歩を、わたしと一緒に踏み出しましょう。
