
その美学、周りには呪いです。
皆さん、こんにちは。
石川県金沢市を拠点に、企業のDX・生成AI活用をご支援している石原愛信です。
今日は、「なぜDXが進まないのか」という話を、難しい言葉を一切使わずにお伝えします。
Contents
秘伝のたれを守り続ける人の話
ある居酒屋に、代々受け継いだ「秘伝のたれ」があります。
そのたれを管理しているのは大将だけ。
「俺が毎日継ぎ足している」「これだけは誰にも任せられない」と、休みなしで365日管理し続けています。
修行に入った弟子が「私にやらせてください」とお願いしても、首を縦に振らない。
大将にとって、それは誇りであり──「美学」なのです。
でも、弟子の目線から見てみましょう。
長年、一緒にやってきた。頑張ってきたつもりだ。
それでも、いつまで経っても任せてもらえない。
「じゃあ、もういいか。自分のペースで頑張ろう。休む時は休もう」
でも、心のどこかに引っかかりがある。
「あの人は今日も一人でやっているんじゃないか…」
そう思うと、本当の意味での休暇が取れない。
これは居酒屋の話ではない
これは、私が職業訓練DX講座で累計480時間以上登壇してきた中で、繰り返し聞いてきたリアルです。
「あの人がいないと回らない」
「自分がやらないと誰もできない」
「俺の代わりはいない」
その言葉の裏に、組織の成長を静かに止め続ける構造が潜んでいます。
石川・富山の中小企業でも、自治体組織でも、地域の団体でも。
形は違っても、同じ景色が広がっています。
もう一つの「美学」──ガラケーを使い続ける人
話をもう一つ。
「自分にはポリシーがあるから、ガラケーを使い続けている」
本人は誇らしげに語ります。
それ自体は、個人の自由です。
でも周りの人間はどうか。
LINEで連絡が取れない。共有したいファイルが送れない。
会議の資料をクラウドで共有しても、その人だけが蚊帳の外になる。
本人の「美学」が、チーム全体を不幸にしているのです。
しかも、当の本人はそれに気づいていない。
「俺は俺のやり方でやっている」と信じている。
自治体の上層部や、地域の「何でも反対する方」も同じです。
反対の声そのものが「美学」になってしまい、周りが動けなくなっていく。
属人化は「悪意」ではなく「構造」の問題
ここで誤解してほしくないのですが、秘伝のたれを守り続けた大将も、ガラケーを使い続けている方も、悪人ではありません。
むしろ、誠実に、一生懸命にやってきた方がほとんどです。
ただ、その頑張り方が「自分一人でやり切る」という方向に固まってしまった。
それは個人の問題ではなく、組織の仕組みと文化が作り出した構造の問題です。
DXとは、ツールを入れることではありません。
「任せる仕組み」「引き継げるルール」「チームで回るフロー」を作ること。
それが、私が石川・富山の現場で一緒に汗をかいてきた、泥臭いDXの正体です。
秘伝のたれを「仕組み」にする日
秘伝のたれを次の世代に渡すとき、大将の誇りは消えません。
受け継いだ弟子がさらに磨いてくれる。
店が続いていく。それが本当の美学ではないでしょうか。
あなたの経験と知恵は、仕組みにすれば「組織の資産」になります。
一人で抱え込んだままでは、あなたが倒れた瞬間にすべてが終わる。
「AIに使われるな、AIを使い倒せ」
この言葉は、ツールの話ではなく、組織の未来の話です。
一緒に、仕組みを作りましょう。

