
AIを導入して社員が「考える」ようになる。それが、地方企業が生き残るための唯一の戦略です。
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「石原さん、AIの答えって、正しいんですか?」
これは、私が石川県内の中小企業向けセミナーで何度も何度も受けてきた質問です。
ある製造業の総務担当者が研修中にこう言いました。
ChatGPTが出した答えって、信じていいんですよね?
ネットに書いてあることだから正確なんじゃないですか?
横で聞いていた営業部長も、うんうんと頷いています。
私はそのとき、少し立ち止まって逆に聞き返しました。
そもそも、"正しい"って何ですか?
テレビが言ったら正しいんですか?
有名人がSNSで言ったら正しいんですか?
場がシンとなりました。
私は海外生活が5年以上あります。アメリカのロサンゼルスでネットショップを運営し、カナダにも1年住みました。
その経験から自然と身についたのが、「情報を鵜呑みにしない」 という姿勢です。
メディアが報じたから正しい、SNSでいいねが多いから正しい、そんな発想はとっくに捨てました。
だが、日本の多くの職場では今もなお、「正解を誰かに教えてもらう」 ことが当たり前になっています。
そしてその構造こそが、生成AIを導入する際の最大の地雷になっていることに、ほとんどの経営者が気づいていません。
【第1章】日本人の7割は情報を鵜呑みにする――客観的データが示す残酷な現実
これは私の感覚論ではありません。データが証明しています。
日本リサーチセンターが2000年に行った国際比較調査では、「マスコミ報道を信じやすい割合」が日本で約70%。英国14%、米国26%と比べ、ダントツの1位です。
さらに、2024年の読売新聞の調査では、偽情報に対して1次ソースを自分で調べる人の割合が、日本はわずか41%。米国73%、韓国57%と大きく水をあけられています。
つまり日本の職場で生成AIを導入したとき、社員の約6割は AIが出した答えをそのまま信じてしまう 可能性があります。
これがどれほど恐ろしいことか、想像してみてください。
AIは堂々と嘘をつきます(ハルシネーション)。
存在しない法律を引用し、架空の判例を「正確な情報」として出力します。
それをそのまま取引先に送る社員が出てくる――これは「仮定の話」ではなく、すでに現場で起きている現実です。
【第2章】なぜ「指示待ち社員」が量産されるのか―日本の組織構造の問題
少し立ち止まって考えていただきたいのですが、そもそもなぜ日本人は鵜呑みにするのでしょうか。
権威依存と同調圧力 です。
「上司がそう言ったから」「みんながやっているから」。
自分で考えなくても誰かが正解を持ってきてくれる環境に、長年浸かってきた結果です。
これは学校教育の話だけではありません。職場の話です。
石川県内の中小企業で研修をしていると、こんな場面によく出くわします。
このAIの使い方、合ってますか?
社長に確認しないとわからないです
マニュアルがあれば使えます
自分で判断しない。自分で確認しない。正解が配給されるのを待つ。
これが、「指示待ち社員」 が生まれる構造です。
そしてこの構造に生成AIを乗せると、思考停止の効率化が始まります。
ツールだけ手に入れて、考える力はゼロのままです。
【第3章】AIの「不完全さ」が最強の武器になる逆説
ここで発想の転換をしていただきたいのです。
生成AIが嘘をつくことは、バグではなく仕様です。
そしてその「不完全さ」こそが、日本の組織変革の最強ツールになります。
なぜでしょうか。
生成AIを業務に導入すると、社員は強制的に「AIが言ったことを鵜呑みにできない」状況に置かれます。
AIが出した答えが本当に正しいのか、自分で確認しなければなりません。
別の角度から再度質問しなければなりません。
つまり、「問いを立てる」という行為が、AIを使うための必須スキル になるのです。
これは偶然ではなく、戦略です。
私が石川・富山の企業向けに提供している研修で、参加者に必ず伝えることがあります。
AIへの指示は、AIへの発注書です。
曖昧な発注書を出せば、曖昧な成果物が返ってきます。
いい仕事をさせたければ、いい問いを立てること。
これは、部下への指示と同じです。
この一言で多くの経営者の目が変わります。
「業務効率化ツール」の話が、突然「人材育成」の話になるからです。
【第4章】「IT講師」には絶対に踏み込めない領域がある
ここで、社内研修の委託先を選ぶ際の 「生命線」 をお話しさせてください。
ChatGPTの操作方法や、プロンプトのテクニックを教える「技術論の研修」なら、YouTubeで無料で学べます。
わざわざ外部講師を呼ぶ必要はありません。
問題は、その先です。
「情報を鵜呑みにする癖」
「指示待ちのマインドセット」
「問いを立てることへの苦手意識」
これらは、ツールの使い方を教えても変わりません。
人間の考え方、行動習慣の問題だからです。
私は70回以上の登壇・研修実績の中で、こうした「マインドセットの壁」にぶつかり続けてきました。
技術を教えて終わりにしたとき、3ヶ月後に現場で何も変わっていない光景を何度見てきたことか。
だから今の私が提供するのは、「教える」研修ではなく、
参加者が自分で「問い」を立て、AIと対話し、その場で答えを出す――泥臭い現場型ワークショップです。
石川県内の企業でも、富山・岐阜でもそれは変わりません。
地方だから難しいのではなく、地方こそ、「自分で考えられる社員」が経営の最大の武器 になります。
東京の大企業のように人手がないからこそ、一人ひとりの思考の質が会社の生死を分けるのです。
生成AI導入は「戦略」である
整理しましょう。
生成AIを社内に導入することは、単なるIT化ではありません。
「問いを立てる自走社員」を量産するための経営戦略 です。
AIの不完全さを逆手に取り、「自分で確かめる力」「批判的に考える力」を社員に強制的に鍛えさせる。
これができた組織は、採用難や人手不足という地方企業共通の課題に対して、全く新しい戦い方ができます。
「少ない人数で、質の高い仕事をする」
それが、石川・富山の中小企業が東京と戦える唯一の道 だと私は信じています。
そのために、私はただのIT講師ではなく、「共に汗をかき、自走する組織を作る軍師」でありたいと思っています。
AIに使われるな、AIを使い倒せ。
その先に、あなたの会社の未来があります。
