求人票に「Word/Excel必須」は、もう書くな！生成AI活用を"問われる"採用面接の、恐るべき現実
「選ぶ側」から「選ばれる側」へ。人材獲得競争の力関係が、音を立てて崩れ始めている。
皆さんこんばんは。
冷や汗が止まらなかった、あの面接
※これは仮定の話です
「最後に、何か質問はありますか？」
面接官の田中さん（仮名）が、いつもの決まり文句を口にした瞬間だった。
応募者の若い女性——25歳、都内の中堅IT企業から地方への転職を希望しているという彼女は、にこやかに笑顔を浮かべながら、こう言った。
「はい。御社では、生成AIをどのように業務で活用されていますか？」
田中さんの頭が真っ白になった。
「え、えっと……それは、今後検討していく予定で……」
彼女の目が、一瞬だけ冷たくなった。ほんの一瞬だけ。
「そうですか。わかりました」
その表情に、田中さんは全てを悟った。この面接、落ちたのは"こっち"だ、と。
Contents
「Word/Excel必須」と書いていた、あの頃
思えば、つい数年前まではこうだった。
求人票に「Word・Excel必須」「PowerPoint使えれば尚可」なんて書いておけば、それなりに応募が来た。会社側が上。選ぶ側。そういう"常識"があった。
でも、今は違う。
人口減少が加速し、特に地方では若い人材の獲得競争が激化している。
もはや「応募してくれてありがとう」という時代なのだ。
そんな中、応募者の方から「御社のAI活用状況」を問われる。
これは、単なる好奇心ではない。
彼ら彼女らは、こう考えている。
「この会社で働いて、自分のスキルは時代遅れにならないか？」
「ここで数年過ごして、次の転職で不利にならないか？」
「この会社、本当に"これから"があるのか？」
生成AI活用度は、企業の「体温計」
ある経営者の方が、私にこう言った。
「石原さん、うちはまだ生成AIなんて使わなくても、仕事は回ってるんですよ」
その言葉に、私はゾッとした。
仕事が回っている——それは確かだ。今日も、明日も、来月も。
でも、2年後はどうだろう？
世の中の多数の企業で生成AI活用が当たり前になったとき。
周りの会社がAIで業務を効率化し、スピードを上げ、新しい価値を生み出しているとき。
「うちは使ってません」という会社に、優秀な人材は来てくれるだろうか？
いや、それどころか、今いる社員だって、転職を考え始めるだろう。
「このままここにいたら、自分だけ取り残される……」
「沈みゆく船」から、人は逃げる
これは、残酷な話だ。
生成AIを活用していない会社で働き続けることは、履歴書に「時代に取り残された会社にいました」と書くようなものになりかねない。
次の転職市場で、こう問われる。
「前職では、生成AIを使った業務改善の経験はありますか？」
「いえ、うちの会社では……使っていなかったので……」
その瞬間、面接官の目が曇る。
これが、現実だ。
「まだいい」は、もう通用しない
「うちは中小企業だから」
「地方だから」
「業種が特殊だから」
そんな言い訳は、もう通用しない。
なぜなら、求職者はもう、気づいているから。
AIを活用している会社と、していない会社の「未来の差」を。
彼らは、自分のキャリアを守るために、"選ぶ目"を持ち始めている。
今、経営者がすべきこと
答えは、シンプルだ。
「御社は、生成AIをどう活用していますか？」
この質問に、自信を持って答えられる会社になること。
それは、高度なシステムを導入することではない。
日常業務の中で、小さくても確実に、AIを使って効率化している——その"姿勢"と"実績"を持つことだ。
それが、これからの採用競争を生き抜く、最低条件になる。
選ばれる会社であり続けるために。
