たった一人で壇上に立つ。その緊張が、いつしか「自信」に変わった理由。
セミナー講師なら、誰もが経験すると思うんです。
講義が始まる前の、あの、胃が縮むような時間。
参加者の皆さんが、静かに、こちらを「品定め」している。あの張り詰めた空気感。
「この講師、ちゃんと教えてくれるのかな?」
「わざわざ時間を作って来たんだから、期待してるぞ」
そんな無言のプレッシャーが、会場中に漂っているんですよね。
正直に言うと、私も以前は、この時間が本当に苦手でした。
でも、最近は不思議なことに、この瞬間すらも楽しめるようになったんです。
なぜか?
それは、小手先のプレゼン技術とか、話し方のテクニックとかじゃなくて、もっと根本的な「あるもの」を手に入れたからなんです。
一人で壇上に立つということ
石川県内で生成AIやDXのセミナーをしていると、色々な講師の方を見かけます。
中には、複数人でチームを組んで登壇される方もいます。
それはそれで、素晴らしいやり方だと思うんです。
お互いにフォローし合えるし、多角的な視点を提供できますから。
でも、私は愚直ながら、一人で向き合ってきました。
一人で企画を考えて、一人で資料を作って、一人で壇上に立つ。
これまでに2年で70回以上のセミナーや研修に登壇してきましたが、そのほとんどが、たった一人での挑戦でした。
最初の頃は、本当に怖かったんです。
「もし質問に答えられなかったら?」
「もし期待外れだと思われたら?」
そんな不安で、前日はいつも眠れませんでした。
実践の中で掴んだもの
でも、回を重ねるごとに、気づいたんです。
実践でしか得られない「自信」があるということに。
例えば、生成AIの使い方を説明する時。
教科書的な知識だけなら、誰でも話せます。
でも、実際に中小企業の現場で、どんな失敗をして、どう改善して、どんな成果が出たのか。
その「泥臭い経験」こそが、何よりも価値があるんだと。
参加者の方々が知りたいのは、綺麗事じゃなくて、リアルな体験談なんですよね。
「ああ、この人は本当に現場を知っているんだな」
そう思ってもらえた瞬間、会場の空気が変わるんです。
品定めの視線が、信頼の眼差しに変わる。
この体験を、何度も何度も重ねてきました。
今、感じていること
だから今は、講義前の「品定めの時間」すらも、楽しめるようになったんです。
「さあ、私の実践経験を、全部お見せしますよ」
そんな気持ちで、堂々と立てるようになりました。
これは、小手先のテクニックでは絶対に得られない「自信」だと思っています。
もちろん、まだまだ学び続けている最中です。
毎回のセミナーで新しい発見があるし、参加者の方々から教えていただくことも多い。
でも、だからこそ面白いんですよね。
あなたにも、きっと
もしあなたが、何かを人に伝える立場にいるなら。
あるいは、これから挑戦しようとしているなら。
私が言えるのは、ただ一つ。
「実践の数だけ、自信は育つ」
ということです。
最初は怖くても、一歩ずつ、愚直に続けていく。
その積み重ねが、いつか「品定めされる瞬間」を楽しめる自分に変えてくれる。
私は、石川県という地方から、そんな挑戦を続けています。
一人で壇上に立つ。
その緊張が、いつしか「誇り」に変わる日まで。
