
世界では誰も「DX」なんて言っていない。ただ呼吸をするように、試行錯誤しているだけだった。
DX・生成AI活用推進をお手伝いしていて感じていることをストーリー形式でお伝えします。
ある日、セミナー会場で感じた違和感
「本日は、DXの重要性について……」
またこの言葉だ。
私は石川県内で、もう65回以上、DXやITツールに関するセミナーを担当してきました。
でも最近、ふと思うんです。
「自分は、この言葉に、踊らされていないだろうか」と。
アメリカで働いていた頃のことを思い出します。
あちらの企業では、誰も「DX」なんて言っていませんでした。
ただ、困ったら新しいツールを試す。
うまくいかなければ別の方法を探す。それだけ。
まるで呼吸をするように、自然に。
「裸の王様」を見た気がした
ある企業の社長さんとお話ししたときのことです。
「石原さん、うちもDXやらないと、取り残されますよね……」
その表情には、焦りと不安がありました。
「DX」という言葉が、まるで魔法のように響いている。
でも、その中身を聞くと、「とにかく何か新しいことをしなければ」という漠然とした不安だけ。
その瞬間、ふと童話を思い出しました。
「裸の王様」
皆が「素晴らしい衣装だ!」と褒め称えている。
でも、実は何も着ていない。
「DX」という言葉も、同じではないか。
みんなが「DXが大事だ」と言うから、何となく、それっぽいことをする。
でも本質的には、何も変わっていない。
海外から帰って、見えたもの
これは仮定の話です。
ある地方都市に、海外での経験を持つコンサルタントがいました。
彼が帰国して最初に感じたのは、「日本の地方は、言葉に縛られすぎている」ということでした。
海外の企業では、こんな会話が当たり前です。
「今週、あの作業、自動化してみたんだけど、どう思う?」
「ああ、いいね。じゃあ来週、別の部署でも試してみようか」
それだけ。
誰も「これがDXです!」なんて言わない。
ただ、日々の課題を解決するために、当たり前のように、試行錯誤している。
でも日本では──
「DX推進委員会を立ち上げましょう」
「DX戦略を策定しましょう」
「DX補助金を申請しましょう」
言葉が先に来て、動きが後回し。
私たちが本当にすべきこと
私は今も、DXというテーマで講師を続けています。
それは、この言葉が
「バズワード(流行語)」だとしても、その奥にある本質、
「試行錯誤する文化」「自律的に変化する組織」を伝えたいからです。
大切なのは、言葉ではありません。
「まず、やってみる」という姿勢です。
ワークショップ形式のセミナーを大切にしているのも、そのため。机上の空論ではなく、手を動かし、失敗し、学ぶ。
これこそが、世界基準の「当たり前」なんです。
石川から、世界基準の挑戦を
私の使命は、石川県の中小企業や個人事業主の皆さんが、「呼吸をするように、ITを使いこなせる」ようになることです。
「DX」という魔法の言葉に頼らなくても、自分たちで考え、試し、改善していける。
そんな、自走する組織を、この地から生み出していきたい。
それが、アメリカから金沢へ戻ってきた私の願いです。
あなたの会社は、「DX」という言葉に、踊らされていませんか?
それとも、呼吸をするように、日々、試行錯誤していますか?
もし後者なら──あなたの会社は、もう世界基準です。


