
皆さんこんにちは。
最近、私が開催する生成AIのセミナーで、目にする光景があります。
熱心な年配の経営者の方が、こうおっしゃるのです。
「私はパソコンが苦手だから、代わりにうちの若い者を参加させます」と。
新しい技術を学ぼうという、その素晴らしい意欲。心から尊敬します。
しかし、私はあえて、厳しい問いを投げかけなければなりません。
その「若手への丸投げ」で、本当にあなたの会社は変われるのでしょうか?
今日は、なぜ社長自身が学ばなければ、本質的な課題解決に繋がらないのか、その理由についてお話しします。
Contents
若手社員が「使い方」を覚えても、会社が変わらない理由
意欲ある若手社員がセミナーに参加し、生成AIの素晴らしい使い方をマスターしたとします。
しかし、会社に戻った彼らを待っているのは、多くの場合、2つの大きな「壁」です。
「権限の壁」
彼らが「この業務、AIを使えば3時間から10分に短縮できます!」と画期的な提案をしても、上司や他部署から「うちは、今までこのやり方でやってきたから」「前例がない」の一言で、その素晴らしいアイデアは握りつぶされてしまいます。
彼らには、会社全体の業務プロセスを変える「権限」がないのです。
「視座の壁」
生成AIの本当の価値は、単なる業務効率化に留まりません。
新しいサービス開発、経営戦略の見直し、そしてビジネスモデルの変革といった、経営の根幹に関わる部分にこそ、その真価はあります。
その判断を下せるのは、会社全体を見渡す「視座」を持つ、経営者だけです。
本当に学ぶべきは「若手」ではなく、「経営者」である
私がセミナーで経営者の皆様に掴んでほしいのは、ツールの具体的な操作方法(How)だけではありません。最も重要なのは、「この技術を使えば、自社の未来がどう変わる可能性があるのか」という、大きな可能性(What)を、その目で見て、肌で感じていただくことです。
社長自身がAIの可能性を理解することで、初めて、
- 社員からの提案を、正しく評価できる
- 会社全体を巻き込む、トップダウンの改革を断行できる
- 社内の「抵抗勢力」から、挑戦する若手を守る「盾」になれる
のです。
「社長が航路を描き、若手がオールを漕ぐ」― それが最強のチーム
では、どうすればいいのか。
私が考える理想の姿は、「丸投げ」ではなく「協業」です。
まず、社長が学ぶ:
セミナーに参加するなどして、経営者自身が「生成AIで、どんな未来が描けるのか」という、大きな航路図を手に入れます。
次に、若手に任せる:
その航路図を若手社員と共有し、「この目的地に向かって、最高の船を動かしてくれ」と、具体的な実践(日々のオールを漕ぐこと)を任せるのです。
社長がビジョンという「羅針盤」を示し、ITスキルのある若手が実行部隊として「エンジン」を回す。
この両輪が揃って初めて、会社という船は、DXという大海原を乗り越え、新しい大陸へとたどり着くことができます。
まとめ
DX時代のリーダーの役割は、全てのツールの使い方をマスターすることではありません。
その技術がもたらす可能性を誰よりも信じ、変化の先頭に立って、挑戦する社員を守り、会社全体の進むべき道を示すことです。
その最初の小さな一歩を、私と、そしてあなたの会社の若手社員と一緒に、踏み出してみませんか。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます。
あなたの「いいね」が、私の毎日の発信と、本質を問い続ける勇気の源になります。
この記事を書いた人
石原 愛信(いしはら あきのぶ)
石川県DX専門家 / 中小企業支援コーディネーター
石川県内の中小企業・小規模事業者様向けに、生成AIやITツールを活用した業務効率化の伴走支援を行っています。
これまでに商工会などで60回以上のセミナー・研修に登壇 。
▼公式サイト・実績・SNS一覧はこちら
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