
皆さん、こんばんは!
今日は、多くの経営者の方が誤解しがちな「DX」の落とし穴について、わたし自身のちょっと恥ずかしい失敗談を交えながらお話ししたいと思います。
「会社のDXを進めなきゃ!」と聞くと、皆さんは何を思い浮かべますか?
最新のAIツール導入?業務の完全ペーパーレス化?
もちろんそれも一つの形です。
でも、もし「とにかく全部デジタルにすればOK!」と思っているなら、少しだけ立ち止まってこの記事を読んでみてください。
なぜなら、ビジネスで一番大事なのは「お客様に価値を提供し、売上を伸ばすこと」ですよね。
その目的のためなら、必ずしもすべてをデジタルにする必要はない。
むしろ、「アナログ」な手法がとてつもない威力を発揮することがあるんです。
Contents
この記事を読んで得られること
この記事を読み終える頃には、あなたは「DX=ツールの導入」という思い込みから解放され、自社にとって本当に価値ある変革とは何かを見つめ直すきっかけを得られるはずです。
小手先のテクニックではなく、ビジネスの本質に立ち返り、明日からの行動を変えるヒントがここにあります。
かっこつけて大失敗!売上ゼロのわたしを救った1本の「電話」
今でこそDXやAIの講師をしていますが、10年以上前、わたしはアメリカのロサンゼルスにある日系スーパーでオンラインショップの店長をしていました。
売上ゼロからスタートし、最終的には月商1,000万円まで伸ばすことができたのですが、その道のりは決して順風満帆ではありませんでした。
「オンラインショップなんだから、全部デジタルでスマートにやるべきだ!」
当時のわたしはそう息巻いて、とにかく最新のウェブ技術やマーケティングツールを追いかけることに必死でした。
でも…鳴かず飛ばずで1年が経過。
売上は全く伸びませんでした。
焦りと不安でいっぱいだったわたしに、経営者がかけてくれた言葉は意外なものでした。
「石原くん、もっと電話を使ってみたらどうだ?」
正直、耳を疑いました。
「電話?なんてアナログな…」と。
しかし、藁にもすがる思いで、そのアドバイスを素直に受け入れ、電話対応に本気で力を入れ始めたのです。
お客様が本当に求めていたのは、温かい「日本語」での対話だった
ロサンゼルスには、多くの日系人の方が暮らしています。
特にご年配の方々は、故郷の味を求めてわたしたちのサイトを訪れてくれていました。
また、全米各地に散らばって暮らす方々の中には、周りに日本語を話す人がおらず、日本語での会話そのものに飢えている方も少なくありませんでした。
その事実に気づいてから、わたしの仕事は変わりました。
ただ注文を受けるだけでなく、お客様一人ひとりと丁寧に言葉を交わすことを心がけたのです。
「このお醤油は、故郷のあの味に近いですよ」
「お孫さん、お誕生日おめでとうございます!プレゼント、喜んでくれるといいですね」
そんな何気ない会話を重ねるうち、お客様との間に確かな信頼関係が生まれていくのを感じました。
そして売上は、面白いように右肩上がりに伸びていったのです。
ある日、一通の手紙が届きました。中には小切手と一枚のメモが。
「石原さんがいいと思うものを、見繕って送ってください」
鳥肌が立ちました。
完全に信頼を得た瞬間でした。
涙が出るほど嬉しかったのを今でも覚えています。
それと同時に、何でもかんでも「デジタルが正義だ」と信じて疑わなかった自分が、ひどく恥ずかしくなりました。
時代は変わっても本質は同じ。あなたの会社の「DX」、大丈夫ですか?
これは10年以上前の話ですが、現代のビジネス、特にわたしたちの地元・石川県でのDX推進においても、全く同じことが言えると確信しています。
しかし、もし現場の私たちが「DXとはツールを導入することだ」と目的を見失ってしまったら、どうなるでしょうか?
高価なシステムを入れたのに誰も使わない、業務が逆に複雑になった…
そんな本末転倒な事態に陥りかねません。
わたしがコンサルのご相談を受ける時、「すべてデジタルでやりましょう」とは決して言いません。
わたしの原点であるあの経験が、ビジネスの本質は「人と人との繋がり」にあると教えてくれたからです。
まとめ:あなたの会社の宝物は、意外な場所に眠っている
DXの主役は、最新ツールやAIではありません。
主役は、あなたと、あなたのお客様です。
もしあなたが今、会社の変革に悩んでいるなら、一度最新ツールのカタログから目を離してみませんか?
そして、お客様との一番の接点を見つめ直してみてください。
それは、わたしのケースのように「電話」かもしれませんし、店舗での「対面での会話」や、
一通の「手紙」かもしれません。
もちろん、アナログな手法とデジタルツールを組み合わせれば、さらに大きな価値を生み出せます。
例えば、電話でお聞きしたお客様の声をCRM(顧客管理システム)に入力し、全社で共有すれば、よりパーソナルなサービスが提供できますよね。
大切なのは、「何を使うか」ではなく、「誰のために、何をするか」です。
あなたの会社に眠っている本当の宝物は、意外とアナログな場所に隠されているかもしれません。
まずは、お客様と一本の電話から、じっくり話してみませんか?
そこに、あなたのビジネスを飛躍させる大きなヒントがきっとあるはずです。
この記事を書いた人
石原 愛信(いしはら あきのぶ)
石川県DX専門家 / 中小企業支援コーディネーター
石川県内の中小企業・小規模事業者様向けに、生成AIやITツールを活用した業務効率化の伴走支援を行っています。 これまでに商工会などで60回以上のセミナー・研修に登壇 。
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